「良い商品」だけでは「届かない」。中川政七商店のマーケターが語る「ブランディングに大切な視点」
┌────────── キャリアを振り返ると、『RPGの主人公のようなキャリアだよね』と言われたことがあります。最初は布の服を着て、木のこん棒を持って冒険に出かける。いろんな街で経験を積んでレベルアップし、新たな武器を使いこなせるようになる。たしかに『自分に足りないものを身につけたい』という気持ちで転職先を選んでいます(中田氏) └──────────
デジタルに精通しても商品は売れない
■ [ルール2] デジタルの知見 < 一気通貫に携わること 中田氏が転職したのは、地方の中小企業向けにデジタル施策の支援をする企業だ。中田氏は集客からネット広告の運用、商品の作り方について顧客に提案する。実は、顧客にコンサルティングするときにブランディングの事例として話していたのが、後に勤務する中川政七商店だった。 ┌────────── 当時のお客様の傾向として、商品があって販売促進でデジタルを活用するのではなく、『デジタルで何かやってみたい』という要望が多かったのです。しかし、デジタル施策は手段のひとつであり、その会社の状況によってはデジタル提案がフィットしないときもあります。そんなときは、会社として何をやっていきたいか、どんなビジョンをもつのかを考えることの重要性を、ブランディングに重きを置く中川政七商店の事例を基に話していました(中田氏) └────────── 中田氏が一番多く手がけた仕事は、商品をつくった顧客が、クラウドファンディングでテストマーケティングを行うというプロジェクトだ。仕事を通じて実感したのは、商品の魅力が伝わらなければ、いくらデジタルの知見があっても商品は売れないということだった。 ┌────────── どれだけ商品を磨き上げても、お客様がいなければ商品が使われる機会が作れず、お客様をたくさん集められても、商品やコミュニケーションの仕方が合わなければ商品の魅力は届きません。つまり、商品の企画からお客様に届ける施策まで一気通貫して取り組むしかない。上流から下流までを一通りわかるスキルを身につけたいと思ったのです。そのための方法論のひとつがブランディングでした(中田氏) └──────────