新生「ヴァレンティノ」のこぼれ話に、身も心も温まる「アンダーカバー」のホスピタリティー 2025年春夏パリコレ日記Vol.6
中堅への階段を上る「オットリンガー」と「アトライン」
藪野:ここからは、ブランド立ち上げから8、9年が経ち、中堅への階段を上る若手2組のショーへ。1組目は、ベルリン拠点の「オットリンガー(OTTOLINGER)」です。最近、「プーマ(PUMA)」とのコラボバッグを持っている若者をよく見かけるので、久しぶりにショーを取材することにしました。会場前や中には、ファッションを自由に楽しんでいる子がいっぱい。インビテーションがあってもなくても、「なんとしてもショーを見たい!」や「ブランドの世界観を味わいたい!」という熱は「いつか頑張って買って、着たい」という気持ちにつながると思うので、インディペンデントなブランドにとって大切なことです。
コレクションは引き続き、カジュアルウエアをベースに大胆なカットを入れたり、ツイストしたり、再構築したりしたエッジィでセクシーなスタイル。今季はビキニやネオプレンのレギンス、浮力がありそうなチューブやバンドのデザインといった海につながる要素や、背中に切り込みを入れてそこに首を通すことで襟やネックホールを前にずらしたようなデザインが目を引きました。ショーピース自体は、前衛的。リアリティーがあるかと聞かれたら、答えはノー寄りなのですが、プレ・コレクションにその世界観をウエアラブルな形で落とし込んでいたり、他ブランドとの協業に取り組んだりすることで、うまくバランスを取っている印象です。今季も、若手ブランドをサポートする「エコー コレクティブ(ECCO.KOLLEKTIVE)」とレザーアイテムを制作したほか、「フッド・バイ・エアー(HOOD BY AIR)」の創業者シェーン・オリバー(Shayne Oliver)とのコラボによるカプセルコレクション「オットニマス(OTTONYMOUS)」を披露しました。コラボ多発の時代ですが、強いデザインアイデンティティーを持つブランドはコラボしても、その色がしっかり出ていて好印象です。