新生「ヴァレンティノ」のこぼれ話に、身も心も温まる「アンダーカバー」のホスピタリティー 2025年春夏パリコレ日記Vol.6
その後は、「バーバリー(BURBERRY)」「ロエベ(LOEWE)」「エルメス(HERMES)」「マックイーン(McQUEEN)」のResee(ショー後の展示会)回りです。パリコレ期間中には、ロンドンでショーを開いたブランドの展示会も盛りだくさん。会場同士が近いところを考えてスケジュールをやりくりし、できるだけ効率よく回ります。
トレンドの透け素材を“お上品“に仕上げた「アクリス」
村上要「WWDJAPAN」編集長(以下、村上):そのあとは、「アクリス(AKRIS)」のショーへ。トレンドとしてはかなり下火になりましたが、クワイエット・ラグジュアリーなスタイルは、最高の素材も相まり素敵でした。ファーストルックのトレンチコートは、コットンギャバジンではなく、シルク素材だったんでしょうか?歩くとフワッと広がり、その瞬間から「さすがでございます」と“お上品口調“です(笑)。ハイゲージのニット、オーガンジー、そしてレザーのパンチング。どんな素材も肌が透けるほど薄く軽く仕上げ、同じトーンのレイヤードで見せます。ピュアホワイトのルックはすでに爽やかですが、ショート丈や深いスリット、高級素材で仕立てたタンクトップやTシャツで、ヘルシーなムードを盛り上げました。細かなプリーツを寄せたオーガンジーやフィルクッペ、ラフィアの編み込みなどを挟むことで、ミニマル一辺倒にならなかったのも好印象です。私たちの座席の向かいには日本の百貨店の関係者が勢揃いしていましたが、年齢問わず、百貨店のお客さまにはおすすめしやすいでしょうね。今っぽいのに、賢くお上品に見える。やっぱり「さすがでございます」(笑)。
「ヴァレンティノ」のカンファレンスに登場したミケーレは、まるで教祖様
お次は、今回のパリ、最大のニュースとも言えるアレッサンドロ・ミケーレ(Alessandro Michele)による「ヴァレンティノ(VALENTINO)」です。その詳細はすでにお伝えしているので、ここでは“こぼれ話“をご紹介。「グッチ(GUCCI)」の時代から、ミケーレはショーの後にカンファレンスを開きます。世界中のメディアが参加するのですが、今回ミケーレは真っ白の布を被せた椅子に座って、質疑応答。なんだかもう教祖様です(笑)。数十分前に見たコレクションにもミケーレらしい中世のムードがあったせいか、「おお、神よ!」というイメージ。リック・オウエンス(Rick Owens)に近い存在かもしれません(笑)。カンファレンスでは、早くも「時間がない」と話していましたが、ミケーレにとっての“本番“は、1月に発表する25年春夏オートクチュール・コレクションになるでしょう。「グッチ」ではできなかった、でも装飾主義なミケーレにとってはある意味の悲願。200ルックくらい出てきてもおかしくない気がします(笑)。