日本でも大人気、オーストラリア発「ステート オブ エスケープ(STATE OF ESCAPE)」設立10年の軌跡を辿る
ー「ステート オブ エスケープ」の立ち上げに至った最大の動機は何でしたか? ブリジット: すべては生地との出会いから始まりました。デザインへの挑戦を常に好んでいた私は、ネオプレン生地を発見したとき、強い創作意欲を感じました。この生地は軽量で耐久性があり、構造的かつ実用的である上に、高級感のある肌触りを持っています。 オーストラリアの海岸沿いで育った私には、ネオプレンのウェットスーツはすでに馴染みのあるものでした。しかし、この生地を手にしたとき、独自のデザインストーリーを語る未開拓の可能性を感じたのです。 バッグ作りがもっとも自然な選択肢だと感じ、縫製から始めました。さまざまな形やシルエットを試すなかで、シンプルさこそがこの生地の魅力を最大限に引き出す鍵だと気づきました。こうして“エスケープ バッグ"が誕生したのです。 ー設立から10年で、日本をはじめ世界中にファンを持っていますよね。この10年間を振り返って、もっとも挑戦的だった経験は何ですか? ブリジット: クリエイティブな観点から見ると、ビジネスとしてもっとも難しいのは、常に新しいものやアップデートが求められる業界で、自分たちのデザイン哲学に忠実であり続けることです。 私たちは意図的に、時の試練に耐えられるようデザインされた製品を作りました。季節を問わず、時代を超越した製品です。オリジナルの"エスケープ バッグ"が10年間変わることなく、コレクションが自然に成長していることを誇りに思っています。これは、「ステート オブ エスケープ」の品質と目的に対し、多くの人が共感してくれている証しです。
ーサステナビリティ、デザイン性、機能性に加え、オーストラリアの職人技を生かした品質もブランドの特徴だと伺いました。使用者は、バッグのどのような点に職人技を感じられると思いますか? ブリジット: バッグの製造方法には当初から強いこだわりがありました。内側も外側と同様に美しく仕上げることが重要です。外から見て美しくあることはもちろん、物を持ち運ぶ、出し入れするというバッグ本来の機能において、内側はすべての要素を正確に作り上げる必要がありました。 たとえば、各パターンは定規とナイフを使って手作業でカットし、ミシン目の間を完璧に仕上げています。また、シンプルさを保つため、上部の接着は熱プレスで行うようにこだわりました。当初はすべて手作業でしたが、現在はカスタム機械の助けを借りています。 さらに、スナップフックとクリップには錆びにくい高級ステンレススチールを使用し、ロープは最高品質を確保するためにセーリングロープメーカーと共同開発しました。一見シンプルなバッグですが、これらのこだわりが製品を際立たせ、今日まで成功している理由だと信じています。 デズリー: シドニーのスタジオで職人が細心の注意を払って手作りした部品の精度は、仕上げと構造の洗練さに表れています。さらに、長年使用しても満足度が高いという顧客からのフィードバックも、その耐久性を物語っています。