なぜ朝倉海はRIZINバンタム級TMでボンサイ柔術”第4の男”をKOで仕留めることができず苦戦したのか…右拳に起きた異変とは?
苦しんだが、朝倉は大晦日の準決勝、決勝への進出を決めた。 出揃った4強の顔ぶれは、朝倉、井上、扇久保、瀧澤の4人である。井上と扇久保は、榊原CEO曰く、「前評判通りの勝ち上がり」だが、共に判定勝利でインパクトに欠けた。サプライズは、左フックのショートカウンターで、元谷友貴をTKOに追い込んだ瀧澤だったが、いかにも粗削りだ。トータルのテクニックでは朝倉にはかなわない。 アランに誰が優勝すると思うか?と聞くと「井上と朝倉」と2人の名前をあげた。史上最年少でUFCのリングに立った井上は、サウスポーが苦手なのか、この日は、持ち味を発揮できなかったが、朝倉に対抗できるとすれば彼しかいないだろう。 まだ準決勝の組み合わせの決定方式は未定だが、朝倉は「ファンが求めるカードを組んでもらいたい」と言う。 そして「圧倒して勝ちたい」と続けた。 「今回のトーナメントを優勝するのはもちろん、対世界を目指してやっている。そう考えたとき、今のままじゃ実力不足を実感した」 ラバーマッチとなるリベンジ戦を熱望するRIZINバンタム級王者の堀口恭司は、先に米国でUFCに次ぐ格闘技団体である「ベラトール」と電撃契約をかわした。「ベラトール」では、来年、その堀口を招き、バンタムトーナメントが計画されているとの話もあり、朝倉も「もしトーナメントが行われるなら参加したい」と口にしている。 そのためにもRIZINバンタム級トーナメント初代王者の看板を持って海を渡らねばならない。 「自分の修正しなければならない点がみつかった、攻撃のバリエーション、テイクダウンに対する対処も、もっと早く対応しなければならない。大晦日までに修正して最強で臨めるようにがんばりたい」 朝倉は、そう言った。 だが、スンナリとはいかない。 痛めた拳の箇所と怪我の具合によるが、もし骨折でもしていれば、そもそも大晦日の出場自体が難しくなる。たとえ大丈夫だとしても、準決勝と決勝の1日2試合に痛めた拳が耐えきれるかどうか。 筆者は、過去に拳を痛めて試合を強行したボクサーを何人も見てきたが、患部に直接注射を打つ強烈な痛み止めでも1試合しか持たない。朝倉は“爆弾“を抱えて大晦日決戦に挑むことになる。 (文責・本郷陽一/論スポ、スポーツタイムズ通信社)