「MA-1」の代名詞「ALPHA INDUSTRIES(アルファ インダストリーズ)」のルーツを探る
MA-1の昔と今
1958年、MA-1がU.S. Air Forceのフライトジャケットとして採用される。65年が経った現在のMA-1とディテールや仕様を見比べていこう。
「当時はB-15からボアの付いた襟がなくなっただけで、その他のディテールは基本的にはあまり変わりませんでした。現在MA-1といえば裏地がレスキューオレンジといわれるオレンジ色なのですが、まだこの頃は表地と同系色のものでした。
その後、1960年代に入り徐々に現在のディテールに近づいていきます。ボックスタブ、オキシジェンタブやU.S. Air Forceマークがなくなり、両脇のポケットにはフラップが付きます。裏地がレスキューオレンジになり、ウールだったリブはアクリル素材に、中綿もポリエステルになり軽量化され、1970年代には現在のディテールになっていきます」
MA-1がファッションアイコンとして世界に広まったルーツは軍物の民間放出品
いわゆる軍物のアイテムで“民間放出品”という言葉を聞いたことがある人もいるのではないだろうか。この“民間放出品”がMA-1がファッションアイコンとして広まったきっかけなのではないかと考えられる。 「軍物の民間放出品とは、アメリカ軍への供給分以上の生産能力があったため、その余剰分を衣料品として一般に販売したものです。リーズナブルで購入できる場所も多く、タフで暖かい軍物の製品は広くファッションとして普及していきました。
ここでALPHA社の現在も使われているロゴにまつわるお話があるのですが、ALPHA社はアメリカ軍に供給していたものと民間へ放出するものをタグのデザインを変えることで管理していました。アメリカ軍に供給するタグには1本線を、民間へ放出するものには3本線のデザインのものに区別し、この3本線とALPHA社の“A”を組み合わせたのが、ALPHA社のロゴマークになったそうです」
MA-1と肩を並べるジャケット「N-2B」と「N-3B」
MA-1と肩を並べる存在として「N-2B」と「N-3B」という2つのジャケットも名品として語り継がれている。このアイテムについても少し伺っておこう。