ダイアモンドユカイ男性不妊の絶望乗り越え3児の命を授かった不妊治療とは
ダイアモンドユカイ男性不妊の絶望乗り越え3児の命を授かった不妊治療とは
子どもを望んでいても授からない「不妊」の約半数は、男性側に要因があるそうです。 今回は、それまで語られることの少なかった「男性不妊」を10年以上前に公表したダイアモンド☆ユカイさんと、生殖医療専門医の柏崎祐士先生に男性不妊やその原因、治療などについて語っていただきました。
チャプター1 突然の“精子ゼロ宣告”で頭が真っ白に。男として自信を失いかけた当時を振り返る
柏崎先生: ダイアモンド☆ユカイさんが無精子症と不妊治療の経験を公表されたきっかけを教えてください。 ダイアモンド☆ユカイさん: 自分はずっと世間知らずのロックンローラーでしたが、いざ子どもを持とうとした時に無精子症と診断されました。ショックでしたが、これはやはり世の中の人たちに知ってもらわないといけないと思い公表を決意しました。もう10年以上前になりますが『タネナシ。』という本も出版しています。4組に1組が不妊で、その48%が男性側に原因があるとも言われており、不妊治療は決して女性だけのものではないと色々な人に知ってほしいと思っています。 柏崎先生: 男性不妊を公表するのはなかなか勇気がいることですよね。一般男性はなかなか公表したがらないと思います。 ダイアモンド☆ユカイさん: 恥ずかしいですからね。とくに自分が経験したのは10年以上前なので、男性不妊なんて親にも理解されない時代でした。でも公表して世間の男性に知ってもらわないと、困る女性が大勢いると思いました。 柏崎先生: そうですね。不妊の相談は、今でこそ夫婦で来る方もいますが、10年前は女性が1人で来るものでした。 ダイアモンド☆ユカイさん: もともとは自分も妻に付き添って行ったのが始まりでした。30歳を過ぎての結婚で不安があったようで、妻が自分なりに調べて不妊の検査をしたいと言ったのです。 当時の自分は男性不妊どころか女性の不妊についてもよくわかっていなかったのですが、クリニックに行ったら自分以外は全員女性で驚きました。順番が来るまでの間、隠れるように待っていましたね。 柏崎先生: そこからどうやって精液検査をすることになったのですか? ダイアモンド☆ユカイさん: 妻の検査結果に問題がなく「ご主人も検査してみませんか?」と言われたのです。最初は「なんで俺が!?」と驚きましたが、自分は妻より10歳年上で40歳を過ぎていたこともあり、検査をしてみようと思いました。 柏崎先生: 結果はどのように伝えられたのですか? ダイアモンド☆ユカイさん: 先生は淡々と「精子、ゼロです」と言っていました。最初は意味が分からず、頭が真っ白になりましたね。先生は今後の治療について説明してくれていましたが、全く頭に入りませんでした。妻が泣いていたことは覚えています。 柏崎先生: 本人以上に、奥様がショックを受けて泣いてしまうケースは多いです。 ダイアモンド☆ユカイさん: 男を否定されたような感じで、その後2日くらいは言葉が出なかったですね。 先生、不妊の定義について改めて教えてください。 柏崎先生 30年前は健康な男女が週に1回のペースで性行為をしているにもかかわらず、2年妊娠しないものとされていましたが、今は結婚年齢も妊娠を希望される年齢も上がってきていますので、受診を2年待つ必要はないとされています。ここからが不妊という明確な定義はなく、妊娠を希望した時点で一度検査を受けていただいても良いくらいです。 ダイアモンド☆ユカイさん: 時代とともに変わっていくのですね。勇気を持って治療に進まないと、あっという間に時が過ぎてしまいますよね。35歳を過ぎると流産の確率が上がると聞きました。 柏崎先生: はい。35歳になると妊娠率もグッと下がります。 ダイアモンド☆ユカイさん: とくに男性不妊は世間にあまり知られていないと思うのですが、もう少し詳しく教えてください。 柏崎先生: 不妊の約5割は男性側が原因です。よく質問されるのですが、男性不妊=ED(Erectile Dysfunction:勃起不全)や無精子症ではありません。男性不妊の原因として、EDや乏精子症、精子無力症、ユカイさんが診断された無精子症などがあります。 ダイアモンド☆ユカイさん: 治療法も異なるのですか? 柏崎先生: 異なります。EDは精液中の精子は正常であることが多いため、人工授精等で妊娠する可能性があります。精液内に精子が少ない乏精子症や、精子数はあっても運動率が低い精子無力症も同様に人工授精や顕微受精で妊娠できる可能性があります。 ダイアモンド☆ユカイさん: 無精子症についても教えてください。 柏崎先生: 精液内に精子が全くいない病態が無精子症です。睾丸で精子が産生されているものの精子の通り道である精管が閉塞している閉塞性無精子症と、そもそも精子が全く産生されない非閉塞性無精子症に分けられます。 ダイアモンド☆ユカイさん: 自分は閉塞性無精子症と言われました。 柏崎先生: 閉塞性か非閉塞性かは、血液検査で判別することができます。前者の場合は、精巣内精子採取術といって、陰嚢を切開して睾丸から直接精子を採取し顕微授精する方法で妊娠できる可能性があります。後者も精巣内から精子を採取することで妊娠の可能性はありますが、特殊な顕微鏡を使って精子を見つける必要があります。 ダイアモンド☆ユカイさん: そもそも、なぜそのような病態になるのですか? 柏崎先生: 染色体異常や遺伝によるケースもあると言われていますが、実際には原因が分からないものがほとんどです。ただし閉塞性無精子症については、幼少期の鼠径ヘルニア手術との関連が報告されています。 ダイアモンド☆ユカイさん: 自分も鼠径ヘルニアの手術をしていました。手術で腸を縛った時、精管も一緒に縛ってしまうのですよね? 柏崎先生: 昔の手術はそうでした。今の手術ではそのような可能性はないと考えて良いと思います。 ダイアモンド☆ユカイさん: 子どもの頃に鼠径ヘルニアの手術をした人は閉塞性無精子症の可能性があるのですね。