ダイアモンドユカイ男性不妊の絶望乗り越え3児の命を授かった不妊治療とは
チャプター2 “大事な部分”にメスを入れる恐怖と夫婦の危機を乗り越え、今伝えたいこと
柏崎先生: ユカイさんは告知された後、どのように進まれたのですか? ダイアモンド☆ユカイさん: 告知を受けて最初しばらくは本当にお手上げというか「じゃあダメじゃん」という感じでしたが、調べてみると妊娠の可能性はあるとわかりました。妻が30代半ばに差し掛かっており、ラストチャンスという感覚があったので、じゃあやってみようと決断しました。 柏崎先生: 実際にどんなことをされたのですか? ダイアモンド☆ユカイさん: 睾丸の触診や血液検査で閉塞性無精子症と診断がつき、次のステップとして陰嚢の中に精子がいるかを確認すると言われました。もし精子があればそのまま顕微受精に進められると聞いたのでその方針でお願いしました。 柏崎先生: 陰嚢にメスを入れるのは怖くなかったですか? ダイアモンド☆ユカイさん: それはもう恐ろしかったですね。麻酔があるとはいえ、針をさすのが怖かったです。 柏崎先生: 奥様の反応はどうでした? ダイアモンド☆ユカイさん: 妻は割と普通でした。女性って男性よりも強いですよね。男性の方がビビりなんだと感じました。 柏崎先生: 実際はそこまで痛くなかったですよね? ダイアモンド☆ユカイさん: はい。針を刺す瞬間だけは恐怖でしたが……終わってみれば、外科手術の軽いバージョンのような感じで術後すぐに帰宅できました。 柏崎先生: 精子は凍結しましたか? ダイアモンド☆ユカイさん: はい。そこから顕微受精に進みました。 柏崎先生: 奥様は卵子を採取されたのですよね? ダイアモンド☆ユカイさん: そうです。妻の不妊治療の方が大変そうでした。 柏崎先生: 採卵も排卵誘発剤の注射も大変だったと思います。当時は注射のために毎日通院しなければいけなかったので、さらに大変だったのではないでしょうか。不妊治療中は男性に原因がある場合だとご主人が引け目を感じてしまったり、奥様の方が不満を募らせたりと色々なご夫婦がいらっしゃいますが、その辺りはどうでしたか? ダイアモンド☆ユカイさん: 妻は何も言わなかったのですが、こっちは自分のせいで子どもを授かることができない引け目がありました。妻は健康体なのにと。治療も思い通りには進みませんでした。顕微受精してもすぐに授かるわけではないですよね。 柏崎先生: その通りです。顕微受精は夢の治療と思われているところもあるのですが、実際に妊娠する確率は約3割と言われています。 ダイアモンド☆ユカイさん: 私たちも何回か着床に失敗しました。女性は受精卵を自分のお腹に戻した時点で母性が芽生えるようで、ダメだったと聞いた時の妻はものすごいショックを受けていましたね。さらに当時は助成金もなくお金がかかりましたし、仕事をしながらでしたので精神的にもつらく、肉体的にも大変でした。それで着床しなかったら、すべてが水の泡になるわけです。 柏崎先生: 出口の見えないトンネルとよく言われますよね。 ダイアモンド☆ユカイさん: わかります。人生がもう不妊治療のために生きているような感覚でした。頭の中が不妊治療一色になっていました。あの経験は忘れられないですね。経済的にも、なんだかんだで100万円くらいかかったと思います。 柏崎先生: そうですね。今は男性不妊の治療にも保険が適用されるようになり、経済的負担も若干減ったとは思いますが、それでも100万円の3割負担だと30万円ですからね。決して安い金額ではありません。ユカイさんはどのくらいの期間治療をしていたのですか? ダイアモンド☆ユカイさん: 不妊治療は2年くらいでしたが、体感としては10年くらいの感覚です。実は一度、諦めようとしました。夫婦がギクシャクし、なんでもないことでも喧嘩するようになって、離婚の話も出るようになってしまって……。それで諦めました。「授からなくても、縁があって一緒になった夫婦だし、人生を楽しもうよ」と2人で旅行をしたり映画を見に行ったりして楽しんでいました。ところがある日、妻の方から「あと1回だけ頑張りたい。悔いを残したくない」と言われ、自分はすでに諦めていたのですが、旅行がてら……と軽い気持ちで不妊治療の第一人者である北九州の先生の所にセカンドピニオンで行ったら授かりました。 柏崎先生: そういうのが良かったのかも知れませんね。治療を休むことで精神的に落ち着いて、良い結果につながることがあると言われています。 ダイアモンド☆ユカイさん: 病院を変えるのも良いと言いますよね。 柏崎先生: そうですね。医学的な根拠はありませんが、それで子どもを授かる方も多いようです。ユカイさんは妊娠したとわかった時や子どもを初めて抱いた時、どんなお気持ちでしたか? ダイアモンド☆ユカイさん: まさか自分がパパになるなんて想像もしていなかったので、妊娠を告げられた時は、じわじわとこれで自分も父親になるんだという喜びの気持ちでいっぱいになりました。不妊治療を経験したことで乗り越えられたこともあると思いますが、すごく感慨深かったですね。子どもには、親にしてくれてありがとうという気持ちに尽きますね。 柏崎先生: 不妊治療の相談で来院される方のほとんどが女性だけですが、不妊の約半数は男性が原因です。女性だけでなくパートナーも早めの検査を心掛けてほしいと思います。まずは検査で自分を知ること、そこからの手段はたくさんありますので、決して諦めないでください。 ダイアモンド☆ユカイさん: 働く女性が増えて、素晴らしい才能のある女性たちが社会で活躍できる時代になりました。 女性たちが大学を出て仕事をして、1人前になるのがだいたい30歳なのだそうです。東京都における初婚の平均年齢もそのくらいです。そして、個人差はありますが、35歳を過ぎると妊娠率がグッと下がると言われています。仮にパートナーが私と同じように男性不妊だった場合、何も知らずにいると5年はあっという間に過ぎ、取り戻すことはできません。私は男女問わず、男性不妊について知っていただきたいと思っています。男性不妊の検査は簡単にできます。人生、悔いのないように!