いまどきの慶應大生は何を読む 本好きによる「塾生選書」で、おすすめの本は?
図書館フレンズのおすすめ本は?
では、図書館フレンズが選んだ「塾生選書」にはどんな本があるのでしょうか。メンバーイチオシのおすすめ本を紹介します。 『諭吉に訊け! 現代人のモヤモヤした悩みを晴らす「学問のすすめ」』(奥野宣之/著 光文社) 「慶應義塾の創始者である福沢諭吉先生の教えの中から、現代人が抱える悩みに関連する部分を取り上げ、現代語で解説した本です。福沢先生の思想をライトに学びたい人、『学問のすゝめ』の原書は難しくて読みづらいという人は、まずこの本で福沢先生のハートフルなメッセージを感じてください」(牧野さん) 『ストイック・チャレンジ 逆境を「最高の喜び」に変える心の技法』(ウィリアム・B・アーヴァイン/著 月沢李歌子/訳 NHK出版) 「古代ギリシャ、ローマで発展した哲学の思想を、現代の事例にあてはめながら解説した本です。つらいことや試練も、ゲームのように捉えてクリアしていくマインドを学ぶことができます。2000年も前の人の思想が、今の時代のポジティブ思考に通じることが、面白いと感じました」(牧野さん) 『空が青いから白をえらんだのです 奈良少年刑務所詩集』(寮美千子/編 新潮文庫) 田端さんが「何度も読み返している」というのが、奈良少年刑務所に収監されている少年受刑者たちによる詩集です。 「本書では、それぞれの少年が罪を犯した背景についても触れられています。彼らの詩を読んで感じたのは、社会では犯罪者として見られる少年たちが、純粋な心や優しさを持っているということ、そして大学生として恵まれた日々を送っている私と彼らとの差は本当に紙一重だということです。このような子どもたちの存在を理解し、受け入れるためには、どのような社会を構築すればいいのか。そんなことを考えるきっかけになりました」 『あの頃ぼくらはアホでした』(東野圭吾/著 集英社文庫) 「ミステリー作家の東野圭吾さんが、自身の中学時代から大学時代を振り返る自伝的エッセーです。あの東野さんが、不良の学生が多く“悪の巣窟”と呼ばれた学校で学級委員を務めていたという話だけでも面白い(笑)。タイトル通り、本当にアホだなあというエピソードが満載で、多少レールを外れたとしても人生を思い切り楽しもうという気持ちにさせてくれます」(田端さん) 『完全版 社会人大学人見知り学部 卒業見込』(若林正恭/著 角川文庫) 雑誌に連載された人気コラムをまとめたこのエッセーには、極度の人見知りとネガティブ思考を自認する、お笑いコンビ「オードリー」の若林さんが、迷いながら自分の道を探す過程がユーモアを交えてつづられています。 「下積み時代に理不尽な経験をして自己嫌悪に陥ったり、社会への不満を感じたりするエピソードは、面白いだけでなく、自分と重ね合わせられる部分もあります。特に印象に残っているのは、高校時代に自分自身を客観視しすぎてしまい、クラスメイトのノリについていけなくなったというエピソードです。高校生活を思う存分楽しめなかったことが心残りなのは、実は僕も同じなので共感しました。このエッセーの続きにあたる『ナナメの夕暮れ』(若林正恭/著 文春文庫)もおすすめです」(樋口さん) 図書館フレンズのおすすめ本は、ほかにもさまざまなジャンルの本があります。今どきの大学生はどのような本を選ぶのか。大学生になったつもりで読んでみるのもいいかもしれません。