【毎日書評】会社員から起業家へ。前に一歩踏みだすための3つの心得
『起業 神100則』(新井 一 著、総合法令出版)の著者は、会社員のまま起業準備を進められるコミュニティ「起業18フォーラム」の代表を務める“起業支援カウンセラー”。25年にわたり、起業を目指す会社員をサポートしてきたのだそうです。 そうした立場から、「現代は起業を目指す人にとって、ずいぶんと恵まれた時代になった」と実感しているのだとか。学歴や職歴、現在のお金の多寡にかかわらず、やろうと思えば誰でも起業できる時代になったというのです。さらに国や自治体がさまざまな支援制度を整備し始めており、制度面での環境整備が進んできたことも追い風になっているようです。 とはいえ起業にはリスクが伴うのも事実で、だからこそ初めて挑戦する人を不安にさせるのではないでしょうか。そこで著者は最初の起業を検討し始めた人に、「まずは練習しましょう」と提案しているのだそうです。つまり、会社員としての生活を続けながら、小さくスタートしようということ。 本書も、そうした考え方に基づいて書かれているわけです。 本書は、私がこれまでに起業を考える会社員の方々、延べ6万人以上と接してきた経験に基づいて書かれています。「これだけ覚えておけば何とかなる」という基本的な知識や起業家としてのあるべきスタンスを中心に、起業に役立つ100のノウハウを厳選しました。この本を参考にしていただければ、確実にスタートを切るための第一歩を踏み出せると思います。(「はじめに」より) また、「起業家が普段どんなことを考えているのか知りたい」「これまでどんなことで失敗してきたのか知りたい」というような疑問にも答えてくれています。 そんな本書のなかから、きょうはCHAPTER5「起業がうまくいっている人の心得」に焦点を当ててみたいと思います。
信頼できるビジネスパートナーがいるといい
起業とは孤独なもの。しかも、ごまかしが効かず、すべてが自分の責任として返ってきます。あらゆる選択や決断が、自分の両肩に重くのしかかってくるわけです。そのため当然のことながら、悩んだり、迷ったりすることも少なくないでしょう。しかし、ずっとひとりで悩んだり迷ったりするのは、想像以上につらいものでもあります。 そういうときに、同じ目的に向かってチャレンジしている「信頼できるパートナー」と悩みを共有できれば、気持ちがとても楽になります。(288ページより) 小さく起業するのであれば、ひとりでやったほうがいいのは事実。スケジュール調整の必要もなく、物事がスムーズに進むからです。自由に身動きがとれますし、人件費もかかりません。会社のような「稟議」も必要ないので、おもしろいアイデアが出ればすぐに実行できるわけです。 ところが、そのうちどうしても時間が足りなくなったり、自分だけではできないことが出てくるものでもあります。そんなときこそ、信頼できるパートナーが大きな意味を持つのです。 著者も基本的にはひとりであるものの、講師チーム、エンジニア、ファシリテーションスタッフ、事務局スタッフ、デザイナー、動画編集者など、多くの信頼できるパートナーに囲まれて仕事に臨んでいるそう。起業当時からのパートナーとは、もう数十年以上のつきあいなのだといいます。 そうした信頼できる仲間とであり、一緒に仕事をしていると、仕事のみならず「人生そのものが豊かになる」ことを実感できるようです。(288ページより)