クマ被害相次ぐもハンターは減少 AI・ロボで対策に取り組む自治体は…【WBSクロス】
クマ対策の現場で深刻な問題が起きる中、テクノロジーで解決しようという動きも出ています。石川・小松市の農林水産課で鳥獣対策を行う埴田大助さん。 「今年は(去年の)倍近くまで現在(クマの)出没が確認されている」(埴田さん) 人数が減ったハンターへの依頼を増やすわけにもいかず、ある仕組みを導入しました。 埴田さんが向かったのは市内の里山。木の幹に定点撮影用のカメラをくくりつけました。赤外線センサーで動物を感知し、自動で撮影できます。 クマが出没すると映像が撮影されます。その映像は福井市にある通信会社「ほくつう」へと送信され、そこでほくつうが独自に開発した害獣の自動検出AI「Bアラート」がクマかどうかをスコアリングします。 「トータル約5万枚の画像を学習してAIをつくっている」(「ほくつう」企画開発課の藤枝勝己課長) Bアラートで80%以上の数字が出た場合だけ、小松市に通知されるという仕組みです。 「約500枚の(さまざまな)画像のうち、1枚、2枚の(クマを)選別可能」(藤枝課長) Bアラートは自治体の利用が拡大し、現在は北陸を中心に7県15自治体で導入されています。 「職員だけに頼るとどうしても限界があるので、(クマの存在を)住民に速やかに伝えることで安全確保の第一歩につながる」(埴田さん)
クマVSオオカミ型ロボ
クマなどによる被害をテクノロジーで解決しようという動きが広がる中、北海道・上砂川町が先月導入したのは、オオカミ型ロボット「モンスターウルフ」です。赤外線センサーで動物の接近を確認するとLEDランプを光らせ、オオカミや人間など50種類の声で威嚇します。 導入した上砂川町有害鳥獣担当の片岡貴弘係長は「対策に苦慮しているので、検証して効果が得られればと思って設置した」と話します。 モンスターウルフを開発したのは北海道でLED機器の製造などを行う町工場「太田精器」です。培ってきたLEDの加工技術を生かし、専門家の協力を得て実証実験を重ねたといいます。 「(開発当初は)子供だましや思い付きでつくったとよく言われて、あまり相手にされない頃もあったが、だんだん引き合いが増えた」(「太田精器」の太田裕治社長) 実際にモンスターウルフが使われたときの映像を見ると、ロボットに気づいたクマやイノシシが逃げたり、人間の声で追い払うときも一定の効果があるようです。 現在、大阪や鹿児島などの自治体が約250機導入。獣害に悩むアメリカなど海外からも問い合わせが来ています。 「都会の住宅地に(クマが)出た場合は鉄砲も撃てないし、このモンスターウルフの活躍には可能性がある。人口減少、高齢化、耕作放棄地が日本全国で増えていくわけだから、獣害が増えるのは将来における日本の社会問題の一例」(太田社長) ※ワールドビジネスサテライト