ハーバード大学客員教授の根来秀行ドクターが伝授! 脳の老廃物を一掃する「呼吸仙骨体操」
世界を股にかけて活躍するハーバード大学&ソルボンヌ大学医学部客員教授の根来秀行ドクターが、健康に関するあれやこれやの素朴な疑問やお悩みを最先端医学の見地から解き明かし、健やかな体と心を取り戻すための改善策をアドバイスしてくれるこの連載。 前回、眠りが浅い人の睡眠中の脳は、睡眠中に脳をクリーンにしてくれる脳脊髄液の流れが悪いことを解説。今回はその改善策として、脳脊髄液の巡りをよくするための簡単な体操を紹介しよう。
仙骨を刺激して脳脊髄液の循環を改善!
頭蓋骨の中は脳脊髄液で満たされていて、やわらかくて壊れやすい脳を保護している。脳脊髄液は脳の中心にある脳室で作られ、脳表面と脊髄を循環しているわけだが、ノンレム睡眠時には脳内での流れが活性化して、脳の老廃物を一掃してくれる。 「脳脊髄液の流れをよくするには眠りを改善することが第一。今回は脳脊髄液の循環を促し、眠りの質も高める簡単な体操をふたつご紹介します。 頭から遠く離れた骨盤の中にある『仙骨』にアプローチする体操です。脳脊髄液については、前回<眠りが浅いと脳はゴミ屋敷に!? 眠っている間に脳のゴミを洗い流す「脳脊髄液」とは?>をご参照くださいね」(根来教授)
《骨盤背面から見た仙骨》 仙骨は背骨の下部にある逆三角形の骨で腰椎と尾骨の間にあって、くさびのようになっている。仙骨と腸骨をつなぐ仙腸関節は、上半身と脚のつなぎ目であり、骨盤を安定させる役割を担っている。 「頭蓋骨の内側で脳を包んでいる硬膜は、背骨の中で脊髄を包んで、骨盤の中心にある仙骨、尾骨までつながっています。この硬膜によって頭蓋から仙骨にかけての連動性が生み出されることは解剖学的にも明らかです。 欧米では医療として認められているオステオパシーという施術では『頭蓋仙骨療法』といって、頭蓋と仙骨の連動性を利用して、仙骨にアプローチすることで脳から脊髄を循環している脳脊髄液の流れをよくする手技があります」