freeeが手掛ける「透明書店」 収益をすべてネットで公開中
その推移はfreeeの公式note(https://note.freee.co.jp/n/n735d5102e7e5)で「お金まわり公開記」として、ひと月ごとに公開されていきました(「蔵前で小さな書店をオープン。1年経って気づいた15のこと」)。 例えば、初期費用1500万円の使いみちは、表や図を使いながら、次のように記されています。 〇不動産取得費用(敷金・礼金、仲介手数料など、家賃は別):2,335,790円 〇設備取得費用(内装や電気・空調設備など):5,450,144円 〇仕入れ:3,861,251円 〇会社の設立費用:276,914円 〇その他(ロゴのデザインや販促費など):667,768円 〇当初の運転資金:2,388,113円 ……本当に赤裸々ですね。そして、この連載で今村翔吾さんがおっしゃった通り、書店の開業には1000万円単位の初期費用がかかることが分かります。 ●「1年以内に単月黒字」宣言を達成 岩見:何かビジネスを始める時に、一番もやがかかっているのはお金周りだろうな、と。書店をやってみたいけど、お金周りが分からないので、一歩を踏み出せないのであれば、最初にこのぐらい費用がかかるとか、現実的に本はこれぐらい売れるといったリアリティーを届けることが大事だと思いました。 さらに、僕たちは最初に単月黒字化を1年以内に達成する、という目標を宣言しました。これは、ちょっと高いハードルだったと思います。 オープン月である23年4月は8日間の営業で、売上高は目標を大きく上回る130万円強。しかし、その後は書籍の売り上げが伸び悩んだり、突発的に費用が発生したりして、低迷する月もありました。 岩見:新しくビジネスを始めると、思いもよらぬことが、次から次へと出てくるんですよね。例えば内装は当初、借りた時のままでやっていけると考えていましたが、やはりそれでは成り立たないことが分かって、初期費用がかさみました。また、オープン3カ月ぐらいで運転資金が底を尽きそうになって、7月に親会社から500万円を借りています。そのときはやっぱり、キリキリしていましたね。 アップダウンを描きながら、11カ月後の24年3月に、売上高が過去最高の135万円に到達しました。そして24年4月、売り上げが265万円を超えて、宣言していた単月黒字を達成されています。 岩見:高めの目標に何とか1周年で到達できましたが、24年5月以降はまたちょっと赤字が出たりしましたので、この先は定常的に黒字化できることが目標です。 同時にnoteを使って、「透明書店店長・遠井の透明日報」という題で、遠井大輔店長が毎日つけている営業日誌も公開されています。透明書店に行ったことがなくても、それらの発信をハラハラしながら追うことで、いつの間にかシンパになっていました。 岩見:1年を振り返ってみると、書籍は月平均で70~80万円ぐらいの売り上げがありました。売り上げベースで言うと、書籍の構成比が高くなっています。 それは書店としては、健全な状況と言えますよね。 岩見:その通りです。ただ、粗利の構成比で見ると、書籍以外がぐっと大きくなって、そこは逆転してくるんです。粗利ベースでいうと書籍の部分はだいたい2割から3割程度で、イベントやグッズ販売、ギャラリースペースと棚貸しのレンタル代が7割、8割ぐらいになります。ちなみに24年4月に単月黒字を達成したときは、イベントがらみで販売したアートの売り上げがどーんと伸びました。 そうか。本は利益率が低いですからね。