今年前半は“震度5弱以上”が多発 「巨大地震の前触れ」は本当か? 日本に地震安全地帯がない理由 #災害に備える
今年5月。能登半島で震度6強の地震がゴールデンウイーク中に発生したのをはじめ、千葉県、伊豆諸島、鹿児島県トカラ列島で震度5弱以上の揺れが相次いだ。SNSなどでは、「あちこちで発生する地震に関係性があるのではないか」「『南海トラフ巨大地震』や『首都直下地震』の前触れなのではないか」などと危惧する声も聞かれた。このような地震の多発をどのように考えたら良いのだろうか。また、なぜ日本では地震が多いのだろうか。9月1日の「防災の日」を前に、もう一度おさらいしてみたい。
地震は本当に多かったのか?
地震は本当に多かったのだろうか。まずは地震の規模、マグニチュード(M)でみてみる。気象庁によると、今年5月に日本およびその周辺で発生したM4.0以上の地震の回数は141回だった。M4.0以上の月別地震回数(1998年1月~2023年5月)を調べてみると、中央値は84回で、地震の半数以上が73回~106.5回の間に収まる。また、同じようにM5.0以上の月別地震回数(1973年1月~2023年5月)を調べてみると、中央値10回(半数以上が7回~15回の範囲に収まる)に対し、今年5月は28回。いずれの規模で見ても、通常よりは地震が多い月だったといえそうだ(ちなみに、月別地震回数が最も多かったのは、東日本大震災を引き起こした東北地方太平洋沖地震が発生した2011年3月で、M4.0以上は3241回、M5.0以上は521回で、いずれも桁違いの数となっている)。 揺れの大きさ(震度)という観点ではどうだろうか。今年5月の震度5弱以上の地震回数は6回。過去の震度5弱以上の月別地震回数(2000年1月~2023年5月)をみると、突出して多い月が4つある。2度の震度7を観測した熊本地震が発生した2016年4月は22回、東北地方太平洋沖地震が発生した2011年3月は33回、新潟県中越地震が発生した2004年10月は18回、三宅島付近から新島・神津島付近にかけて活発な地震活動があった2000年7月は17回と、いずれも二桁の回数を記録しているのだ。こうした月に比べると、今年5月は少ない。ただ、震度5弱以上の地震が0回の月も少なくないことを考えると、それなりに多かったとはいえそうだ。