千代田国際中学元校長・日野田直彦 本は<人生のグーグルマップ>。「何になりたいか」「どう生きたいか」は読書していればいずれ見つかる
9月に入り、「勉強の秋」と言われる季節になりました。でも長期休暇明けの学生や社会人のなかには「なぜ勉強しなければならないのか?」「先行き不透明な時代にどう生きればよいのか?」などと悩む人も多いのでは。そこで『東大よりも世界に近い学校』の著者で千代田国際中学校の元校長・日野田直彦さんが「あなたが勉強するべき理由」「進む道の見つけ方」をお伝えします。 いまの学校はオワコン?日野田さんの著書『東大よりも世界に近い学校』 * * * * * * * ◆なぜ勉強するのか 学生でも、社会人でも、将来に対して不安をもつ人は多いと思います。 その結果、「新しいことを勉強しよう」「資格をとろう」と考える人もいれば、「この先の人生をどう進めばいいのか?」「どう生きればいいのか?」と悩む人も多いのではないでしょうか。 そもそも、人はなぜ勉強するのでしょうか? 私が校長を務めていたころ、生徒や保護者から「学校の勉強は必要ですか?」とよく聞かれました。 もちろん、必要です。それは、学校で学ぶ勉強の内容が良いものだから。 社会の問題を自分で考え、自分なりの関わりかたを考えるうえで最低限の知識は必要です。将棋でいえば駒の動かしかたや基本的な戦法、先人たちが打ってきた「棋譜」を勉強しないと上達できないのと一緒です。 社会の問題といっても、貧困や環境といった大きな問題だけではありません。身のまわりのちょっとした不便や不具合、会社や組織が抱える問題、そうしたものを情熱と創意工夫で解決することも立派な「課題解決」です。 たとえば、ルンバを知っているでしょうか。自動お掃除ロボットです。 これは、MITの研究者が、友人が忙しすぎて部屋の掃除をしている暇がないと嘆いていたのを聞いて思いついたアイデアでした。きっかけは些細なことですが、これも立派な社会の問題を解決する仕事です。
◆「何をしたいのか」を探しているなら 自分は何をしたいか、何に向いているかを探したり考えたりするときには、「自分はこういう人間だ」と決めつけないことが大切です。 自分が何者かを知るために大切なのは好奇心です。ワクワクすることです。 好奇心がない人などいません。自分は人より好奇心が少ないと感じているとすれば、それはもともと好奇心が少ないのではなく、問題意識が薄いのです。 目的意識や「自分は何者なんだろう」ということを意識していれば、自然と好奇心が刺激されることに出合います。これってなんだろう、なぜだろうと不思議に思う。そこからワクワクがはじまります。 このワクワクがないと学びはありません。 嫌々やるのは作業であり、学びではありません。ワクワクすることを見つけて、自分が何をしたいのかがわかってくれば、その手段として勉強するようになります。 うるさく「勉強しろ」といわれなくても、目的がはっきりすれば、やる気は自然と出てきます。それが学びです。
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