iPS細胞やES細胞だけじゃない…細胞治療でいま大注目の「間葉系細胞」の「意外な正体」
究極のアンチエイジング技術になる?
間葉系細胞の持つ免疫抑制力=抗炎症能力は、アンチエイジングにも役立つ可能性がある。 「免疫抑制の効果、組織修復の効果というダブルの効果があり、しかもこれまでの分子標的薬のようにピンポイントで患部をアタックするのではなく、体内の環境そのものを正常な状態へ修復していく。専門的には恒常性を維持する、と言います」 将来的には体内の慢性炎症を抑えることで加齢による不都合(五十肩や関節炎など)を治療できるかもしれない。 どういう使われ方をするにしろ、医療品であり、製品管理が徹底して安全に行われる必要がある。海外ではすでに美容への応用も始まっているが、安全性には大きな疑問がある。他人の細胞を入れる技術であるため、成人由来の細胞であれば抗原抗体反応が起きたり、感染症を起こす可能性があるからだ。 まずは難病で苦しむ人を助けることだ。そしていずれ基準が整備され、製品の安全性が担保されれば、老いという人間の難病を治療することも夢ではないだろう。 「しかし、この段階まで進めるには、臨床研究というプロセスで信頼のある有効性と安全性のデータを集積することが必要です」
川口 友万(サイエンスライター)