ジミー・カーター元米国大統領は、気候変動問題を最初に認識した世界の指導者だった
■カーターとレーガンは、バイデンとトランプに似ている
カーター氏の大統領時代の環境施策は、その後のレーガン、ブッシュ政権で見向きもされなかった。 米国では間もなく、気候変動に懐疑的なトランプ大統領が就任することもあり、複数の米メディアはカーター氏の環境遺産が辿った歴史を今と重ねて報じる。 ニューヨーク・タイムズ紙は1月2日、「トランプとバイデンを理解するには、レーガンとカーターを見よ」との見出しで、「次の4年間の展開を見通すには、カーターの環境遺産を振り返り、レーガンの規制緩和の中で何が生き残ったかを考える価値がある」と報じた。 米インサイド・クライメート・ニュースは、「1980年の大統領選挙で、レーガンがカーターに圧勝したことは悲劇的な意味合いを持つ」と振り返る。CEQの報告書に積極的に対応したカーター氏が「もし再選していたら、3つ目の報告書の内容にも対応していたであろうことはほぼ確実」だからだ。 そして「その後12年間のレーガン政権とブッシュ政権下で、米政府は地球温暖化を研究する価値はほとんどなく、ましてや対策を講じる価値はまったくないとみなした。政治的な勝利がなければ、より良い未来を実現するチャンスは簡単に逃げてしまう」と論じた。 ニューヨーク大学のジャッフェ所長は、「カーター政権下での代替エネルギー政策が、その後も安定して継続されていれば、今ごろ米国は再エネ分野で世界をリードしていただろう。しかし現実は、風力発電でデンマークやスペインに、太陽光発電や電気自動車では中国に後れを取っている」と惜しむ。