日大が記者会見 前理事長逮捕受け(全文1)伝統ある日本大学が汚された
本来必要のない籔本氏の会社を介在させた
井ノ口氏は事業部の取締役として、事業部が本学から委託を受けた医療機器等の発注先の選定や価格の適正を確保するためのコンサルティング業務を統括しておりました。医療機器、電子カルテのいずれについても事業部が購入、調達してリース会社に売却し、本学がリース会社からリースを受けるという取引ですが、井ノ口氏はコンサルティング業務を遂行するに当たり、本学に不必要な債務負担をさせることを避けるべき任務があったにもかかわらず、医療機器等の使用料に本来介在させる必要のない籔本氏の会社を介在させました。 その結果、籔本氏の会社が得る売買差益分が医療機器等の価格に上乗せされ、本学はその上乗せされた分を不必要に支払わなければならないことになったため、本学に損害が生じたと考えております。この事件に関しましても、現時点では本学や職員の中に共犯性が認められる者は確認できておりません。 次に田中前理事長に対する所得税法違反の容疑についてですが、現在捜査中であり、また調査チームの調査によると現時点では関係者の供述に食い違い等があり、信用性を判断する事情が乏しいということのため、今後の調査結果を最終報告書で述べることにいたします。 続きまして、今回の事件の対応についてご説明を申し上げます。今回の一連の件に関しましては、本学の管理運営体制、ガバナンス体制が社会から問われている問題であると認識しております。そこで、学内規定に基づき危機対策本部を設置いたしました。この危機対策本部では、迅速かつ適切な対応を図るため、情報の収集および分析、法人監事下の提言および文部科学省からの指導を踏まえ、今後の対応を検討しつつ、学生、教職員への情報提供、文部科学省等関係機関への報告など、本件に関わる必要な検討、対策の決定等を行っております。
理事長の不在期間を最小限にすべく、加藤学長が兼務
また、法人監事が私立学校法に基づくその権限と責任において、本学の執行機関から独立して理事の業務執行状況を含めて監査をしております。そのための調査は法人監事の指揮の下に学内に設置した調査チームにおいて本学と利害関係のない弁護士が複数名参加し、調査の第三者性および客観性を確保して実施いたしております。 この調査チームが作成した医学部附属板橋病院の建て替え計画を巡る背任に関わる事実関係の調査結果報告については、本日開催の理事会で報告されました。また、医療機器導入等を巡る背任に関わる事実関係の調査結果報告についても、事実関係が判明次第、公表する予定でございます。真相究明に向け、本学の調査は警察の捜査に全面的に協力している中で、適正かつ慎重に実施をいたしているところでございます。 今回の一連の件における本学の対応概要についてご報告をいたします。令和3年9月8日に東京地方検察庁の捜索が日本大学本部および日本大学事業部に入りました。10月7日に当時理事であった井ノ口忠男氏、本学医学部附属板橋病院の建て替え計画を巡る背任容疑で逮捕され、翌日10月8日の臨時理事会にて同理事への辞職勧告を決議し、同日開催の日本大学事業部株主総会で井ノ口忠男取締役の解任が決議をされました。その後、10月18日に同理事から辞任願を受理しております。 また10月27日に井ノ口氏は起訴され、さらに医療機器導入等を巡る背任容疑で再逮捕、11月16日に追起訴されました。そして11月29日、当時理事長であった田中英壽氏が所得税法違反容疑で逮捕されました。この逮捕を受け、12月1日には田中氏から理事長職の辞意が示されたため、辞任を受け入れ、当月3日には理事の解任を決定いたしております。 なお役員報酬につきましては、井ノ口氏からはいわゆる退職金に当たる退任慰労金は辞退の申し出がありましたが、その他の井ノ口氏および田中氏に対する役員報酬および退任慰労金につきましては、当初は支給を保留するということを決めておりましたが、全て支給しない、不支給とすることを決定いたしました。 12月1日の田中氏の理事長辞任に伴い、現在の本学の置かれた状況を踏まえ、法人経営を適切に継続する必要があることから、理事長の不在期間を最小限にすべく、学長である私、加藤が兼務をすることが決定されました。