日大が記者会見 前理事長逮捕受け(全文1)伝統ある日本大学が汚された
田中前理事長と永久に決別し、その影響力を排除
第1点です。日本大学は田中前理事長と永久に決別し、その影響力を排除いたします。今後一切、彼が日本大学の業務に携わることを許しません。ここに宣言いたします。また同人の役員報酬、賞与、退職慰労金については一切支給しないことといたします。第2点、今回の事案の舞台となった日本大学事業部について、精査の上、清算を視野に対応してまいります。第3点、外部有識者を中心とする日本大学再生会議を組織し、日本大学の将来について検討していただくことにいたします。 それでは恐縮ですが着座にて、背任事件に関する調査結果からご説明を申し上げます。まず背任事件の経緯についてご説明を申し上げます。今回の一連の事件の概要を本学が設置いたしました法人監事と、大学と利害関係のない弁護士が複数名参加した調査チームの調査結果に基づき、ご説明させていただきます。 第1事件の日本大学医学部附属板橋病院等の建て替え計画を巡る背任に関わる事実関係について、井ノ口氏は同病院の建て替え計画事業の設計、管理業者選定に関わるプロポーザル実施等の業務において、参加したA社の窓口を務めていたC社に対し、金額を水増しするとともに、プレゼンテーション終了後、本学関係者に対し審査員が評価シートに記載した評価点、およびその集計表を改ざんするよう指示をしております。もっとも実際にはA社よりも高評価で安価なB社と契約が締結できたか否か、仮に契約が締結できたとしても、最終的な契約金額が幾らであったのかということまでは確定的なことは言えません。
井ノ口氏はA社に事業部へのリベートを要求
また、A社は井ノ口氏から事業部へのリベートを要求され、井ノ口氏の指示に従い籔本氏の会社に2億2,000万円のリベートを支払いましたが、その原資についてA社は自らの利益を削って支払ったという認識を示していました。以上のことから、本学に被害があると言えるのか疑問もあり、調査開始当初は被害届の提出を保留といたしました。 しかし調査を進める中で、A社としては井ノ口氏に要求された事業部へのリベートを支払うのではなく、本学に対してさらに値引きをした可能性も否定できないと述べるに至りました。そうだとすれば本学に被害が生じたと評価することもできると考えられるため、12月6日に被害届を提出するに至ったわけでございます。 なお、井ノ口氏は当時、本学の理事ではありませんでしたが、日本大学事業部の取締役であり、同社は本学の100%出資の子会社で本学への利益を最優先とする立場であり、また本学から同プロポーザル手続きを受託して、善管注意義務を負う立場でもあるため、同氏も同義務を負うとともに、事業部取締役として忠実義務違反にも該当します。今後、損害賠償請求を視野に入れて対応してまいります。 また、プロポーザル実施時に審査の評価点の改ざんに関与した本学の元役員で、事業部代表取締役は井ノ口氏の強い求めに応じ、改ざんに協力したことについては義務違反ではありますが、任務違背行為の故意もなく、図利加害目的もないため共犯性は認められないと判断をいたしました。 また、当該事業の担当であった本学職員および事業部元社員についても、井ノ口氏の強い求めに応じ改ざんに協力したことについては、義務違反に該当します。しかし、井ノ口氏の見積書の差し替えやリベート要求行為については認識しておらず、任務違背行為の故意もなく、図利加害目的もないため共犯性は認められないと判断をいたしました。東京地方検察庁も本学職員を起訴しておりません。 なお、法人監事から12月8日、第1事件の中間報告書が提出されましたので、要約したものを近日中に本学ホームページに掲載いたしますので、どうぞご確認いただきたいと思います。 次に第2事件についてお話を申し上げます。第2事件である医療機器と電子カルテの導入、調達を巡る背任行為については現在も調査中ではありますが、現時点までの確認できた事実関係を踏まえて報告をいたします。