正直に「警察署に出頭」するとバカを見る…駐車違反で黄色いステッカーを貼られても無視すべき理由
■「大損」でも出頭が必要な場合とは 話を戻します。フロントガラスに標章をぺたりと貼られたらどうすべきか。結論としては、出頭せずに違反金を払って終わらせるのが断然「お得」といえるでしょう。 ところが、警察庁によれば、だいたい2割弱の人が出頭して青切符を切られています。「出頭したら大損」ということを知らない人がまだまだいるのでしょう。まったくの無知で出頭してきた場合、警察官も同情するのか、「待っていれば違反金の通知がくるから、そっちで払ってください」と言い、青切符を切らずに帰らせてしまうこともあるようです。 しかし、「大損」と知りつつも、やむなく出頭する人もいます。違反日前の6カ月以内に違反金の納付命令を3回以上受けた車両は、一定期間の「使用制限命令」を受けることになるからです。レンタカー会社や配送業者などはクルマが使えなくなっては困るので、違反した利用者や社員に出頭してもらうのです。 違反金の制度は、駐車監視員の制度とともに2006年6月に登場しました。違反金は反則金や罰金と違い、取り締まりを行った都道府県の収入になります。当時、「小泉行政改革」で補助金が減った地方自治体では、違反金が新たな収益源として期待されました。 07年は全国で約235万件あった納付命令ですが、その後どんどん減少していき、23年は約65万件。いまや駐車監視員への委託費でむしろ赤字という県もあるようです。 ※本稿は、雑誌『プレジデント』(2024年11月29日号)の一部を再編集したものです。 ---------- 今井 亮一(いまい・りょういち) 交通ジャーナリスト 1980年代から交通違反・取り締まりを取材研究し続け、著書多数。2000年以降、情報公開条例・法を利用し大量の警察文書を入手し続けてきた。2003年から裁判傍聴にも熱中。傍聴した裁判は1万1000事件を超えた(2024年6月現在)。 ----------
交通ジャーナリスト 今井 亮一