イッセー尾形が一人芝居を40年以上続ける理由「一人芝居の醍醐味は、意味を超えたところで観客と笑い合えること」
「ボイジャー2号のように歳を重ねます(笑)」
── 最後に、イッセーさんにとってカッコいい大人とは? イッセー 先日、長谷川四郎さんの『シベリヤ物語』(講談社文芸文庫)って本を読んだんです。 シベリア抑留中の体験を元にした本なので、読む前は強制労働の過酷な辛さなんかが描かれているんだろうと思っていたんですけど、実際には、自分のことはさておいて相手のロシア兵のことばかり書いてあった。こいつはセコいやつだとか、この人はいいやつだったとか。自分以外のことが書いてあったんですね。 辛い状況でもすべて絶対にユーモアで書くんだという意思が見えた気がしました。それで、この人は凄い人だ、カッコいいなと思った。 ── それはカッコいいです。過酷な状況下だと自分のことで精一杯になりがちですから、外に目を向けるのは簡単なことではないと思います。
イッセー 長谷川四郎さんは知性の人なんだろうな。単に勇気のような情からは出てこない、智から出てくる力ですよ。そういうものを感じましたね。 ── こうやってお話していると、イッセーさんも知性の人だと感じます。では最後に、これからどのように年を重ねていきたいですか。 イッセー NASAが1977年に打ち上げた無人宇宙探査機のボイジャー2号って、今では太陽系の外に出てるそうです。真っ暗な宇宙の中を一人旅してる。今では目的もどうやらそんなに定かじゃないらしい。でも、ずっと稼働して探索してる。なんか僕に近いものがあるなって感じているんですよ(笑)。だから、ボイジャー2号のように歳を重ねます。
● イッセー尾形(いっせー・おがた)
1952年2月22日、福岡生まれ、A型。1971年演劇活動を始める。一人芝居の舞台をはじめ映画、ドラマ、ラジオ、ナレーション、CMなど幅広く活動している。 2012年の独立を契機に新たな活動も展開中。
舞台『イッセー尾形の右往沙翁劇場2024』
in神戸 場所/神戸朝日ホール 日程/11月22日(金)、23日(土)、24日(日) in京都 場所/京都府立文化芸術会館ホール 日程/10月25日(金)、26日(土)、27日(日) in東京 場所/有楽町朝日ホール 日程/12月6日(金)、7日(土)、8日(日)
『イッセー尾形の右往沙翁劇場』DVD発売
作・演出・出演をイッセー尾形が手掛ける一人芝居の12年の集大成DVDが発売中。映像特典【メイキング&インタビュー映像】も収録されたファン垂涎の永久保存版、直筆サイン色紙の特典付き。 写真/大川直人 スタイリング/宮本茉莉 ヘアメイク/久保マリ子 文/木村千鶴 編集/岸澤美希(Web LEON) 衣装協力/WACKO MARIA PRESSROOM、PARADISE TOKYO