なぜ久保建英は「代表でもトップ下を狙いたい」と語ったのか…明日初戦のW杯アジア最終予選へ向けて覚悟と決意
東京五輪からマジョルカへつらなる流れを、決して個人アピールには走らないと断りを入れた上で、アジア最終予選でも継続させたいと久保は力を込めた。マジョルカでも見せている攻守両面におけるインテンシティーの高さや、以前よりも向上した走力を問われると、無精ひげをたくわえた表情をやや崩しながらこんな言葉をつむいだ。 「自分のなかでもある程度(の手応えは)ありましたけど、第三者の方に見ていただいても『成長している』と言ってもらえるまでのレベルに来ていると思うので。試合に出ればやれる、出ればやれるという気持ちで自分はずっとやってきて、いまはコンディションもすごくいい。くさらずにやってきてよかったかなと思っています」 くさらずに――とは前半をビジャレアル、後半はヘタフェへ期限付き移籍した昨シーズンをさす。特に後者へはインテンシティーの高さをまず求められるチーム事情を承知の上で加入し、いま現在の自分に足りないものを日々の練習で追い求めてきた。 自ら希望したマジョルカへの復帰を含めて、自らの意思で描いてきたさまざまなベクトルがいよいよひとつの方向に、いまではA代表の戦いに集約されつつある。 森保ジャパンの船出直後から南野拓実(26・リバプール)が担ってきたトップ下は、いまでは鎌田大地(25・フランクフルト)が居場所を築きつつある。鎌田になくて、自分にある武器とは何か。久保は自らの一挙手一投足に答えがあると胸を張った。 「それは監督が判断するところだと思いますし、自分がいくら口で言っても何かが変わるわけじゃないので。僕としては誰かと対立する気もないですし、ポジションが同じような選手からたくさんのものを吸収できればいい。どこで使われるにしても練習から自分の持ち味をどんどん出していって、自分がいまできることをしっかりとやるだけです」 オマーンとの戦いを終えた後は舞台をカタールのドーハへ移し、中国代表との第2戦が現地時間7日に待つ9月シリーズ。初めて臨むアジア最終予選へ「必ずチャンスが来ると思う」と腕をぶす久保は、貪欲さと冷静さを同居させながらキックオフを待つ。 (文責・藤江直人/スポーツライター)