「ワイフとの出会いで人生が変わった」――渡米5年、新婚のピース綾部が語る「結婚」と「夢追う理由」
ワイフに一刀両断された
特に若手時代は、男女問わず、モテるための努力を誰よりもしてきた自負があるという。持ち前の “人たらし力”に安住することなく、恋愛に関しては、街中できれいな女性を見かけると大抵声をかけた。「俺は毎日サボらず素振りしてるだけ。素振りもしてないのに(恋の)ヒットが打てるわけないだろう」という持論は、又吉をいつも驚かせた。 飛び込んだニューヨーク生活では「is」と「was」の違いすら分からなかったが、名だたるハリウッドスターから、ボランティアとして働いていた老人ホームのお年寄りまで、ノリとジェスチャーで心を通わせていった。「おばあちゃんの話にひたすら耳を傾けていたら、『彼はアジアから来た私の太陽なの』と言われたんです。一体お前は何をしたんだと施設内で騒ぎになりました。自分で言うのもなんですけど、革命児かというほどの人気者でしたね」と振り返る。 かくして、なまじコミュ力が優れているばかりに「英語の勉強をずっとサボってきた」綾部だったが、後のワイフに言われた一言が彼を変えた。 「二人で勉強していたある日、ふと聞いてみたんです。『僕の英語力、100点満点中どれぐらい?』って。すると、『あなたの英語は4点です。100点中ではなく、1万点満点中のね』とズバッと一刀両断されました。彼女は10代で渡米し、努力して英語を習得してきた人。その時ハッとしましたよね。『僕はいままで持ち前のコミュニケーション能力でチヤホヤされてきたけど、英語がうまいねとは一度も言われたことねぇぞって』って。多少できる気になっていたけど、実際はまったく話にならない状況だったとその一言で気づかされたんです」 「彼女は、アメリカと日本、両方のいいところをもって、アメリカ社会を生き抜いてきた人です。現地でもまれ、アメリカには『日本なんて』とクサしてばかりの日本人もいると知っていたからこそ、彼女の強さに気づけたんだと思います」 いまでは人生の伴侶としても、エンタメの世界を生き抜くためのパートナーとしても、大切な人だという。 ワイフの指導により多少、英語力はアップした。「難関高校の入試問題で高得点はとれるし、中学生レベルの文法なら人に教えられる自信もあります。でも会話となると全然ダメなんです。学校の勉強と実践的な英会話は大きく違うということにも気づけました」 将来的にはワイフやほかのネイティブの先生、友達に教わってきたことをベースに、自分で作り上げた英語の勉強の仕方を、自身のYouTubeで発信していく予定だという。 「英会話というキャッチボールを始める以前に、グラブのつけ方すら分からない人たちだって大勢いると思うんです。僕みたくストイックな勉強が苦手な人もいる。『また今日もサボったなー』。それでも、諦めず頑張っていくしかないんです。英語を話したいのは自分なんですから。そんな僕らでも取り組める、ゆくゆくは文部科学省の方からも注目されるくらいの、新しい英語の勉強の仕方を日本に広めたいです」