新型コロナ対応の現場に“和み”を 医療従事者に似顔絵贈るイラストレーター
似顔絵セラピーで医療従事者に笑顔を
2020年5月、依頼したのは茨城県日立市にある日立総合病院救命救急センターの医師たち。応需率99.9%、『断らない救急』を目指しているこの病院では新型コロナの疑いのある患者を含め日々、搬送されてくる患者と向き合っている。 村岡さんは普段、似顔絵を描くときは病院へ行って相手と話をしながらイメージを膨らませて描く。だが、コロナ禍ではウェブカメラを使っての作業に変えた。また、報酬は一切受け取らず、すべてボランティアで行うと決めた。 パソコンのモニター越しに村岡さんが向き合ったのは、同センター長の中村謙介医師。 「医療関係者が新型コロナウイルスを持っているかもっていうので、心配される人もいて、子どもを預けている保育所から来ないでもらいたいと言われたスタッフもいる」 中村医師は語り始めた。それに対し、村岡さんが、問いかける。 「みなさんが闘っている中、ホッとするとき、嬉しいときはどんなときですか?」 中村医師から帰ってきた答えは、「この新型コロナウイルスで運ばれてきて助かる人がいる。大変だけど、みんなに貢献できる仕事をさせてもらっているというのは、ありがたいし、踏ん張りどころかなと思う」だった。 村岡さんは、地域のために闘うという強い意志を持つ中村医師の思いを受け止めた。 数日後に似顔絵が完成。日立総合病院救命救急センターに、郵送で届けられた。描かれていたのは、「どんな患者でも受け入れる」との強い姿勢を前面に出した中村医師の笑顔。さらに一緒に働く医師の仲間たちも5枚の色紙に描かれていた。
「すごーい!」「良く特徴を捉えています」 コロナ対応で殺伐とした雰囲気が漂う病院に、喜びの声が響いた。 “新型コロナウイルスに負けない!” “地域の人を守りたい!” そんな医師たちの6枚の似顔絵がいま、救急救命センターの職員が和めるようにとの思いから、センター内の待機所に飾られた。