【闘病】筋肉に力が入らず、道端で倒れて血だらけになったことも《皮膚筋炎》
「皮膚筋炎」というと馴染みのない疾患かもしれませんが、「膠原病」というと聞いたことのある方も多いのではないでしょうか。皮膚筋炎も膠原病の一種であり、皮膚と筋肉に炎症を引き起こす自己免疫疾患で、日常生活に多大な影響を及ぼします。ここでは、ある日突然起き上がれなくなり皮膚筋炎と診断されたナンシーさん(仮名)に、診断を受けるまでの経緯や治療、現在の生活や印象的だったエピソードなどを聞きました。 【イラスト解説】皮膚筋炎含む代表的な膠原病5つ ※本記事は、個人の感想・体験に基づいた内容となっています。2024年5月取材。
不調は「持病のせい」だと思っていた
編集部: 最初に不調を感じたのはどういった状況だったのですか? ナンシーさん: もともと持病に関節リウマチがあるのですが、関節の痛みや発熱、朝のこわばりなどが強くなり「関節リウマチが再燃しはじめている」と、通っていた町の整形外科に相談しはじめていました。ドライヤーを片手でもつこともできず、壁で肘を支えながら髪を乾かしていましたが、これもリウマチによるものだと思っていました。 編集部: そこからどのように受診にいたったのですか? ナンシーさん: ある朝、起き上がることができなくなったのです。その時はベッドではなく布団に寝ていたので、低い位置から立ち上がる必要があったのですが、どんなに体制を変えてみても体に力が入らず、立ち上がれませんでした。リウマチの症状に気をとられていて、筋肉が弱くなっているとは思いもよりませんでした。今まで無意識に行っていた「立ち上がる」ということができないという状態が理解できず、一人暮らしの私は混乱のあまり泣きながら叔母に電話をしていました。 編集部: 受診から、診断に至るまでの経緯を教えてください。 ナンシーさん: 関節リウマチで通っていた町の整形外科でも改善せず、38度以上の発熱がほぼ毎日出ていました。発熱した時は余計に関節痛もひどく、大学病院に紹介状を書いてほしいと先生にお願いしました。整形外科医は「どこに行っても同じだと思う」と紹介状を書くのを渋っていましたが、なんとか大学病院の整形外科に行けることになりました。この時点で、最初に立ち上がれなかった日から半年近くたっていました。 編集部: 大学病院で診断を受けたのですか? ナンシーさん: そうです。大学病院では、整形外科だけでなく、内科や脳神経外科などでいろいろな検査と診察をしました。2か月程たっても病名が分からなかったので、ひとまず関節リウマチの皮下注射アクテムラを始めることになりましたが、何回か注射をしても改善が見られませんでした。そんな中、インターネットで「皮膚筋炎」という病名を知り「自分はこの病気ではないか」と疑いはじめていたころ、内科の先生から「筋肉が損傷しているかどうかを調べるCK値が高いので、入院して詳しい検査と治療をしましょう」と言われました。 編集部: そこからの告知はどのような形でしたか? また、その時どのように感じましたか? ナンシーさん: 入院して1週間くらい経った頃、主治医の医師から身内を呼ぶように言われ「皮膚筋炎です」と告知されました。親は高齢だったので「来なくてもよいのでは?」とも思ったのですが、薬をたくさん使う治療で副作用もあることから、説明必須なのだと理解し病院にきてもらいました。