【闘病】筋肉に力が入らず、道端で倒れて血だらけになったことも《皮膚筋炎》
病名がわかるまで1年… 「やっと治療に進める」と安堵
編集部: 皮膚筋炎とはどんな病気なのでしょうか? ナンシーさん: 自己免疫性の炎症性筋疾患で、膠原病と呼ばれる病気の一種です。筋肉や皮膚などを自分の免疫が攻撃してしまい、筋組織が壊れていく病気で、主な症状としては、筋肉に力が入りにくくなり、易疲労感(さほど体を使っていないのに疲労を感じる)や筋肉痛、発熱、皮膚症状(かさつき・赤み)などがあります。 編集部: どのように治療を進めていくと医師から説明がありましたか? ナンシーさん: 薬物治療として、免疫抑制剤プログラフ(タクロリムス)とプレドニン(ステロイド薬)を、まずは多めに服用し、その後、様子を見ながら減らしていくとの説明がありました。また、副作用に対する薬剤も一緒に服用するとのことでした。薬が多い間は感染しやすくなるため入院し、ステロイドが30mg/日になったところで退院。そこからしばらくは月2回の通院、様子を見て大丈夫であれば月1回の経過観察のみとなる、とのことでした。 編集部: そのときの心境について教えてください。 ナンシーさん: 立ち上がれなくなった日から1年かかってやっと病名がはっきりし、いよいよ治療に進めることになったので、とてもほっとしました。ありがたく感じたことを覚えています。とにかく痛みから解放されたい、発熱から解放されたいと思っていたので、なにより治療を進めたい一心でした。 編集部: 実際の治療はどのようにすすめられましたか? ナンシーさん: まずはステロイド薬50mg/日服用を4週間続け、5週目から10mg減らして40mg/日を2週間、7週目から5mg減らして35mg/日を2週間……といった感じで進められました。症状と血液検査の結果、副作用のチェックなどを行いながら、最終的に30mg/日で退院し、その後は通院しながらさらにステロイドを減量していきました。最終目標は5mg/日でしたが1年以上かけてやっと7.5mg/日くらいになったところで再燃がありました。再度ステロイドを増量し、そこからまた少しずつ減らすという繰り返しになりました。副作用によるムーンフェイスなど、見た目の違和感もありましたし、ステロイド減量を焦ると再燃してしまうもどかしさもあったのをよく覚えています。結局、寛解状態になるまでは2年くらいかかりました。 編集部: 薬との闘いだったのですね。 ナンシーさん: ステロイドのほかにも2種類の免疫抑制剤、肝臓の薬、ビタミンDの薬、胃薬と抗菌薬、葉酸、睡眠導入剤もあわせて服用しており、薬の多さに手がプルプル震える時期もありました。骨粗しょう症の薬も併せて飲んだほうがよかったようですが、処方を忘れていたようで5年くらい前から飲み始めました。入院から10年経ち、現在は飲みたくない薬を自ら申し出るなどして、様子を見ながらですがだいぶ減らすことができています。 編集部: 受診から手術、現在に至るまで、何か印象的なエピソードなどあれば教えてください。 ナンシーさん: 入院一週間くらい前、外出時にちょっとした段差で転んだことがありました。一瞬のことで何が起きたか分からなかったのですが、転んだだけでなく、顔面をコンクリートの地面に打ち付けてしまっていたそうです。そこに突然ゲリラ豪雨のような雨が降り出したのですが、腕にも足にも力が入らず立ち上がれないまま、顔面から出たと思われる血が地面を流れていくのを見ながら雨に打たれていました。 編集部: そこからどうされたのですか? ナンシーさん: 通りがかった人が気づいてくれて、停めていた私の車まで連れて行ってくれたので助かりました。顔面血だらけでやっと車に戻った時の、車で待っていた母の驚いた顔が忘れられません。自宅に戻ってから消毒をして、キズパワーパットを貼り自分で手当をしたのですが、地面に打ち付けて歯が当たったようで唇と鼻の下のところが裂けてしまっていました。病院で縫ってもらおうか迷ったのですが、キズパワーパッドのみで治しました。今もキズはありますが縫い後が残るよりは良かったような気がしています。一度地面に倒れると立ちあがる動作ができない……。それほど筋肉が壊れていたことを改めて認識させられたショックな出来事で、今でも思い出すとゾッとします。