シャンシャンフィーバー、でもどうして上野動物園は大幅黒字にならないの?
昨年、東京上野動物園で誕生した赤ちゃんパンダ「香香(シャンシャン)」が国民的人気を博しています。これまで抽選の当選者のみという限定的な一般公開でしたが、2月1日からは先着順の一般公開へと切り替わりました。一日あたりの観覧者数も、3600人から約9500人に拡大。上野動物園には、シャンシャンをお目当てにした来園者が増加すると予想されます。 シャンシャンでにぎわう上野動物園を目の当たりにして、宮城県仙台市や広島県庄原市などでもパンダを誘致して地域活性化を図ろうという計画が持ち上がっています。パンダを誘致すれば、地域活性化や経済効果が見込めるからです。 しかし実は、多くの来園があっても、上野動物園が大幅に黒字になることはありません。それは、上野動物園を運営する公益法人特有の「収支相償」という規定が影響するのです。
一般公開始まり、シャンシャン人気上昇
上野動物園に新たに誕生した赤ちゃんパンダ“シャンシャン”は、愛くるしい表情やしぐさが多くの人を魅了します。シャンシャンを一目見ようと、上野動物園は平日でも多くの人が足を運んでいます。 国内には、上野動物園のほか兵庫県神戸市の王子動物園や和歌山県白浜町のアドベンチャーワールドにもパンダが飼育されています。アドベンチャーワールドには5頭のジャイアントパンダが飼育されており、規模では上野を上回ります。それでも上野動物園が注目されるのは、1972(昭和47)年に日本初となるジャイアントパンダが来園したというゆえんがあるからです。上野とパンダは、特別な関係なのです。 昨年の上野動物園の入園者数は約384万3000人、入園収入は約11億7000万円に達しました。昨年末からシャンシャンフィーバーに沸いている上野動物園ですが、一般公開が始まった今年はフィーバーがさらに加速しています。そのため、来園者が増加することは確実です。 入園者が増加すれば、必然的に動物園が得る入園料収入は増えます。また、シャンシャン関連のグッズも飛ぶように売れています。これも動物園財政に大きく寄与します。シャンシャンがもたらした経済効果は、計り知れません。