日本女子王者第1号は9頭身モデルボクサーでなく美人シングルマザーボクサー
敗れたモデルボクサーの顔は、そう腫れてはいなかった。 「負けた悔しさよりもボクシングを楽しく感じた。スッキリしています」 笑顔を浮かべてすぐさま現役続行を宣言した。 「リベンジしたい。いい経験になったし、もう一度やりたい。目標があると頑張れる」 新設されたバンタム級の挑戦資格のあるランカーは残り2人しかいないため、高野が再びチャンスを得る日は、そう遠くないだろう。 高野は「努力したものが勝つのではなく強いものが勝つんです」とも言った。 だが、「努力をしたものが強くなる資格を持つ」ことを忘れてはならない。長いリーチとパンチ力。そしてモデルボクサーの9頭身と、その美貌。ずっと言われているそれらの天賦の才能が、13戦を消化して、世界戦まで経験してなぜ今なお開花しないのか。モデルとボクサーの二刀流の限界なのか。陣営は、もう一度真剣に高野再生計画を練り直す必要があるだろう。継続したトレーニングがなければ、その日は来ない。例えば、V17をしているWBCアトム級王者、小関桃や、吉田が理想に掲げた4階級制覇、藤岡菜穂子と、1週間でも2週間でも合同練習をしてみて本当の努力を目の当たりにしてみればどうだろうか。 さて船出した2分6ラウンドの日本女子タイトル戦は日本プロボクシング協会の渡辺均会長が期待した「女性らしいスピーディーなボクシング」とは程遠いレベルの内容だった。観客席も寂しく順風満帆なスタートとは言えなかった。しかし、ミスマッチではなかったし、何より吉田という初代女王が、プロの条件であるファイティングスプリッツを見せてくれたのは良しである。 (文責・本郷陽一/論スポ、スポーツタイムズ通信社)