悪質“カスハラ”客を拒否できる? 「改正旅館業法」が施行 “サービス”と“ハラスメント”…線引きは?【#みんなのギモン】
■「長時間拘束」や「威圧的なクレーム繰り返し」…4割超
こうしたカスタマーハラスメントを受けている施設というのは多くあります。 全国旅館ホテル生活衛生同業組合連合会がホテルや旅館に行った調査によると、宿泊客によって「従業員を長時間にわたって拘束したり、威圧的な言動でクレームが繰り返し行われた」という施設は41.0%、「宿泊料の不当な割引など、過剰なサービスを行うよう繰り返し求められた」という施設は23.5%もありました。 こうした要求に対応していると、ほかのお客さんに必要なサービスが提供できないとして、法律が改正されたというわけです。
■宿泊拒否の対象にならないケースとは?
一方で、宿泊拒否の対象にならないケースには、どんな場合があるのか。 まずは、障害がある人が施設側に「合理的な配慮」を求める場合などがあります。 ○フロントなどで筆談でのコミュニケーション ○車椅子利用者が、ベッドに移動する際に介助を求めることなど ○盲導犬の同伴 このほか、施設側の故意または過失によって損害を被ってしまい、何かしらの対応を求めるということもあり、こうしたことなどは従来どおり、宿泊拒否の理由には当然あたりません。(※厚労省HPより) これらは、すべての客が同じように気持ちよく宿泊するために絶対に必要なサービスだと思われます。一方で、どこまでがサービスで、どこからが“カスハラ”なのか、感じ方は人それぞれということもあり、個人の認識のすり合わせや、その線引きには難しいところもあります。
■“タオル1枚持ってきて”もカスハラになる場合?
カスタマーハラスメントに詳しい、東洋大学・社会学部長の桐生正幸教授に話を聞きました。 桐生教授によると、要求の内容というよりは、態度や言い方の問題なので、例えば「タオル1枚持ってきて」というのも、“高圧的な態度”だとカスハラになることもある、ということです。 「カスタマーハラスメント」とは、定義が明確になっていないからこそ難しい問題で、「相手がハラスメントに感じたら、ハラスメントになる」というわけです。 消費者は、疑問に思ったことは主張してよいが、ただ、態度や言い方が高圧的にならないようにする。そして、お互いに気持ちよく過ごすためには「ありがとう」の気持ちをもつことが大事だと桐生教授は話していました。 “お金を払ってるから当たり前だ”という態度ではなくて、まずは「ありがとう」と思うことを心がけたいですよね。