苦境にあった氷河期世代が互いに罵り合う悲哀 団塊の世代のように束になって発言ができない
ラジオニュース番組『飯田浩司のOK! Cozy up!』キャスター・飯田浩司氏は、自らもニュースを伝える仕事をしてきた中で、自責の念を込めて「絶えず苦境に立たされてきた就職氷河期世代に対する経済政策には、大手マスコミのダブルスタンダードが如実にあらわれている」と語ります。最新刊『「わかりやすさ」を疑え』より一部抜粋のうえ、その意味するところを解説します。 ■絶えず苦境に立たされてきた氷河期世代 就職氷河期世代は政策的な手当や好景気の恩恵をほとんど受けることなく間もなく50代に差しかかろうとしています。
私もこの世代の1人として就職活動し、2004年にニッポン放送に入社しました。すでに、我々の苦労は世の中の多くから忘れ去られています。 それを如実に表す出来事が、今年3月28日夜の参議院本会議、2024年度予算案に対する反対討論で壇上に立った国民民主党の伊藤孝恵参議院議員が就職活動の頃のエピソードを語った時に起こりました。伊藤議員のX(旧Twitter)から引用します。 〈令和6年度予算案に関する反対討論で本会議登壇。
冒頭「私が就職活動で100社もの会社に落ちた1997年…」と話し始めたら、議長席(? )で吹き出す声や、議場から「100社はむごい」とか「オレ全部受かった」とか、笑い声や話し声がいろいろ耳に入って来て動揺し、めちゃくちゃ噛んでしまう〉 笑い声や話し声……。さすがは“選良”と言われる国会議員の方々、自分事として捉えている人は、まったくいらっしゃらないことがよくわかる反応です。参議院議員の平均年齢はだいたい60歳前後。なるほど、このぐらいの年齢層の方々はバブル景気の中、売り手市場で就職活動をしていらっしゃり、そのまま議員になられたわけですから氷河期世代の苦労などご存知なはずがありませんね。
あまり世代間対立を煽るのは本意ではないのですが、本当に世代の違いがそのまま経済観の違いに直結してしまって断絶が非常に深いうえに、今に至るもその苦労に耳を傾けようとしないことには怒りを通り越して呆然としてしまいます。 さらに、伊藤議員のX投稿やこれを題材にしたネットニュースに対するコメントなどを見ていると、世代間の断絶もあらわになっていて、これまた呆然とするのです。 ■氷河期世代の団結を阻み続けてきたもの