「ヨーロッパのハワイ」カナリア諸島グランカナリアが、自然好きにはたまらないワケ
「ヨーロッパのハワイ」と呼ばれるカナリア諸島のグランカナリア島に、またしても波を求めて行ってきました。 とはいえ2年経っても相変わらずど素人以下のレベルで、「サーフィンが好きです」とは恥ずかしくていまだに公言できません。どれだけ運動神経が悪いんだろうと思うのですが、とにかく、サーフィンを練習してきました。 8つの島々から成るカナリア諸島にやってきたのは、テネリフェ、ランサローテに続き今回が3島目。「ヨーロッパのハワイ」と呼ばれるのは、一年を通して温暖で、最低気温が15℃くらいにしかならないから。そして、ここはハワイと同様に火山からなる島々で砂浜も黒いところが多く、以前も紹介しましたが、黒土のワイナリーでも知られています。 今回も、楽しむというより修行のように波に揉まれてきましたが、サーフィンのレッスンは1日に2時間なので、そのほかの時間は体にムチを打ちながら観光してきました。 まず、1日目に訪れたのは「プラタノ博物館(Museo del Plátano)」。日本のスペイン語の授業では、「Plátano(プラタノ) = バナナ」と習いますが本当は違います。プラタノはバナナと比べて小さめで、もう少し皮が硬め。つまり、「別人」なのです! 私はその事実を数ヵ月前に知り、衝撃を受けました。スペイン語学習者のみなさん、ご存知でしたでしょうか。 そして、カナリア諸島は「バナナ」ではなく「プラタノ」の産地として有名なのです。しかも、ただのバナナと侮ってはいけません。世界には500種類ものプラタノが存在するのだとか。このバナナ博物館では、おばちゃんが農園を歩きながらなん種類かのプラタノについて説明してくれましたが、私の記憶に残っているのは、バニラ味がするという青いプラタノ。ぜひ、食べてみたい。
めちゃくちゃな遠足へ 次の日は、サーフスクールがかなり適当にオーガナイズしていた遠足に行ってきました。直前になるまでどこへ行くのかわからず、何時に戻ってくるのか誰も知らないという雑さでしたが、これが意外と楽しかった。まず、連れて行かれたのはカナリア諸島名物を出してくれるというバル。「そのあとハイキングしないといけないから、軽くちょっとつまむだけ」と言われていたのに、顔を出しにきたスクールのオーナーが「ちょっと」どころか次々と料理を注文し、ワインも飲んで、食べ終わったあとにはハイキングよりもシエスタの準備が万端の状態になっていました。 そのあと、車で運ばれて行ったのが、火山が噴火してできた巨大な岩Roque Nublo。自然公園の一部になります。そこまで「軽く歩く」と言われていたのでその言葉を信じていたら、ちょっとどころではなくそれなりにちゃんとしたトレッキングで、もう足が上がらないくらい辛かった(註この遠足に行く前に、すでに2時間海で運動しているんです)。 その後、絶好のサンセットスポットを目指して、島のど真ん中に位置するPico de las nubesへ。日没の1時間以上も前に着くという、よくわからない時間設定でしたが、それだけ待った甲斐があり海の向こうのテイデ(テネリフェ島の活火山。スペインで一番高い山)がくっきり見えるという素晴らしい光景を目に焼き付けることができました。 そして最後の日は、サーフハウスで一緒だったカタルーニャ人カップルが砂丘に行くというので、便乗して友人と私も連れていってもらうことに。バスで2時間かけて行こうとしていたので、ラッキー。鳥取砂丘に見えますが、鳥取砂丘ではありません。Dunas de Maspalomasです。アフリカ大陸の真横に位置するわけですから、砂丘があってもおかしくないんです。 こんな感じで、4泊5日という弾丸でしたが島を堪能してきました。最初にカナリア諸島にきたときは(テネリフェでした)、ハワイのレベルまでは期待していなくても、もう少し南国感というか、薄茶色の砂浜にターコイズブルー(地中海です)みたいなものを勝手に思い描いていたのでがっかりしましたが、今回はそのときより、そして前回のランサローテよりも好きになりました。 そして、なぜかカナリア諸島に異様に興味が湧いたのです。島好きの血が再び騒ぎ出したのかもしれません。地中海の島々も大好きですが、もっと荒々しくて素朴で(名物料理も素朴)、まさに「大自然」な、この南国の島々の魅力に気がついてしまったようです。 ちなみに、在スペイン日本大使館の「カナリア諸島案内」によると、グランカナリアは昔から日本のマグロ漁船団の海外基地となっていて、スペインで最初の日本食のレストラン や日本人学校(2001 年に閉校)ができたのも、ラス・パルマス・デ・グランカナリア市なのだとか。イベリア半島から飛行機で3時間、さらに時差が1時間ある遠く離れた地に、日本とそんな繋がりがあったとは驚きです。 バルセロナの寒くて何もない冬から逃避すべく、いまからさっそくカナリアへ行くことを妄想しています。
上田紋加