有酸素運動は老ける? 筋トレとの両立は? 有酸素運動のギモン(専門家が監修)
右:有酸素運動の前に無酸素運動を行う。大腿筋、大臀筋、広背筋…など大きい筋肉から鍛える。筋肉が増えれば代謝が上がる。写真はスクワット。例えば1セット目が100kgを13回ならば、2セット目は110kgを10回と負荷を上げることで運動効果は高まる。 左:有酸素運動は、全力の70~80%で継続して行う。無酸素運動の後、(220-年齢)×0.75の心拍数で10~20分継続すると運動効果が高い。写真はトータル・ワークアウト常備のバイクトレーナー。有酸素の運動量をキープできるようにデジタルでカリキュレートしてくれる。
有酸素運動はやりすぎると老ける?
ランナーが老けて見えるといわれるのは、有酸素運動をやりすぎて、体内に活性酸素が発生しているからかもしれません。人が生きるためには酸素が必要ですが、過剰な酸素はカラダに害になります。DNAやタンパク質を傷つけてしまうのです」とは、東京大学教授の中西真さん。 活性酸素とは、体内に取り込んだ余剰な酸素が活性化したもの。強い酸化作用があり、細胞を攻撃してしまう。 「ただし、エビデンスは取れていません。人間には個体差があり、食事も生活環境も異なるので、同じサンプルで比較することが難しいからです。それに、なにをもって老け顔というのか、基準が難しいですよね」 マウスではすでに実験済みだ。 「同じ親から生まれた2匹のうち片方に有酸素運動をやらせたら、その個体には明らかに活性酸素が多く発生しています」 アスリートでない限り、有酸素運動をやりすぎてはいけない。 「たとえばランナーズハイは脳が毒性のある物質を出してつらさを緩和させている状態です。気をつけてください」
教えてくれた人:中西真さん
なかにし・まこと/東京大学医科学研究所所長・教授、生化学者。1960年愛知県生まれ。東京大学医科学研究所所長。癌防御シグナル分野教授。2022年に東京大学新世代感染症メンバー、23年より現職。著書に『老化は治療できる!』(宝島社新書)。