地動説を知った17世紀の科学者たちが考える地球外生命体とは?
昔の人の宇宙人観とは? クイーンズランド大学の宗教思想史名誉教授であるPhilip C. Almond博士が執筆した記事をThe Conversationから転載しています。 【全画像をみる】地動説を知った17世紀の科学者たちが考える地球外生命体とは? 私たち地球人はずっとずっと昔から地球外知的生命体について語り続けています。特に17世紀のヨーロッパでは、他の惑星に生命が存在するかどうかかなり活発な議論がされていたそうです。
地動説が宇宙人議論を加速
17世紀の地球外知的生命体の議論が起こったのは、これまで信じられていた「地球が宇宙の中心にあり、すべてが地球の周りを回っている」とするプトレマイオスの天動説から、太陽が中心にあり、地球を含むすべての惑星が太陽の周りを回っているというコペルニクスの地動説への移行の結果でした。 もし私たちの地球が太陽の周りを回る他の惑星や衛星と似たようなものだとすれば、その惑星も地球と同じようなものだと考えたわけです。そして、もし他の惑星が地球のようなものなら、おそらくそこに住む人たちも存在するはず、と。 ロバート・バートンが1621年の『憂鬱の解剖学』で述べた もし地球が動くなら、それは惑星であり、月に輝き、月や他の惑星の住民に対しても。月や他の惑星が私たちに対してするのと同じように輝く。 という言葉はよく知られています。
17世紀の科学と神の存在は切り離せない関係
同様に、オランダの天文学者クリスティアーン・ホイヘンス(1629~1695)も、コペルニクスの「太陽が中心」という考えにで、他の惑星にも生命が存在すると考えていました。 しかし、ホイヘンスはそうした推測は「神の完全性」の教説に基づいていました。つまり、神は全能で善良であるがゆえ、宇宙のあらゆる場所に物質を創造し、生物で全宇宙を満たす機会を逃さなかったという考えです。 ホイヘンスは1698年に出版した『The Celestial Worlds Discover’d 』の中で、私たちと同様に、他の惑星の住民も手や足を持ち、直立していると示唆しています。しかし、他の惑星、特に木星と土星はもっと大きいので、そこに住む人たちは私たち地球人より遥かに大きいかもしれませんよね。社会生活を送り、家に住み、音楽を奏で、神の業を熟考するなどしているかもしれません。 一方で、宇宙人がどんな風なのかを推測することに過剰に自信を持たない人たちも多かったようです。それでも、アイザック・ニュートンと並んで王立協会のメンバーでもあったジョゼフ・グランヴィルは1676年に、たとえ他の惑星の生命の詳細が分からなくとも、「月が住める場所であるという仮説や、実際に住民がいると考えることを否定するものではありません」と発言しています。