長与千種はアジャコングにとって憧れでありライバル プロレスを続けるきっかけになった「失望のシングルマッチ」も振り返った
【いつでも"スーパースター"だった長与千種】 ――全女時代、長与さんは後輩に対してどんな接し方をされていましたか? アジャ:自分に憧れている人間に対しては、ちゃんと"憧れの存在"でいてくれる人でした。私にとってはよき理解者であり、よきライバルでしたね。なんせ、全部の光を自分のほうに持っていっちゃう人なので、ヒールとしての自分は「なんとかして影に引きずり込んで、闇落ちさせてやりてえな」と思っていました。 昔は"みんなの太陽"だったのが、今マーベラスでやっているのを見ると、"なくてはならない月"になってきたかな。これからの選手たちに対して、「君たちが輝く太陽でいなさい。私は夜道を照らす月になります」という感覚になっているように見えます。 ――アジャさんが、会社の指示でヒール転向させられた際、「悪役で長与さんとは試合をしたくない」と悩んでいたところ、長与さんからサングラスを渡されて「このサングラスが似合う悪党になれ」と励まされた、というエピソードは有名ですね。あのサングラスはまだ持っていますか? アジャ:家にあります。あれは一生の宝物だと思っています。 ――長与さん、粋なことをされますね。 アジャ:自分のことをスーパースターだと思っている人に対しては、"スーパースター対応"をしてくれる方なんですよ。 ――自分が周囲からどう見られているか、すごくわかっている方ですよね。 アジャ:わかっている方だし、そうやって生きていくしかないんだと思います。私も最近は、「アジャコングと宍戸江利花(本名)の境目はどこですか?」って聞かれるんですけど、自分のなかでは境目なんてないんですよ。365日、四六時中、アジャコングとして見られているんだったら、「アジャコングってこういうものでしょ」っていう見せ方をする。それは苦痛じゃなくて、自然体です。長与さんもずっと「プロレスラー・長与千種」「芸能人・長与千種」と見られてきたから、たぶんそれが、自分の一部になっているんだと思います。 ――以前、長与さんにインタビューした際、「人との接し方がわからない」とおっしゃっていました。みんなで食事に行くとなると、気を遣いすぎてしまうと。 アジャ:だからたぶん、あんまり友だちはいないと思います(笑)。自分の素を出せる人、自分が疲れない人じゃないと、普段は一緒にいたくないでしょうね。