長与千種はアジャコングにとって憧れでありライバル プロレスを続けるきっかけになった「失望のシングルマッチ」も振り返った
【「千種が頑張ってるんだから頑張らなきゃ」】 ――ビューティ・ペアにはハマらなかった? アジャ:熱狂するほどではなかったですね。テレビで女子プロレスがやっていたら観る感じでしたが、ビューティ・ペアが解散してからは放送回数も減ったので、しばらく離れていた時期もありました。 ――その後、クラッシュ・ギャルズのファンになるんですね。特に長与千種さん。長与さんのどんなところが好きでしたか? アジャ:それも空手着がきっかけです。女子プロレスのブームがちょっと落ち着いてきた頃......小学校5年生くらいですね。長与さんが昭和55年にデビューされて1年目くらいの時に、テレビをつけたら空手着を着た人が出てきたので、「また空手着! 富士美さんはやめたのに」と思ったら、長与千種という人だったんです。回し蹴りとか空手技を使ってるけど、細いしあんまり強くない。だけど、頑張ってほしいなと思って。 そこから長与さん見たさに全女を観るようになったんですが、あんまり出てこないんですよ。「今日もあの人の試合なかったなあ」みたいな感じが続いていたなか、中学1年くらいの時にクラッシュが結成されて、人気が大爆発。それからはお小遣いを貯めて試合を観に行ったり。立川に住んでいたので立川に来る時も行ったし、後楽園ホール、1.4(東京ドーム)も行きました。 ――アジャさんから見た長与さんは、カッコいい感じですか? アジャ:今もそうですが、可愛い......ですかね。先輩、しかも還暦を迎えられた方に失礼ですけど(笑)。でも、先月の「長与千種 還暦祭」で見ても、やっぱり可愛かった。普段の笑顔も可愛いけど、リングでは極悪同盟に血みどろにされながら、やられてもやられても立ち向かっていく。絶対に「参った」は言わない。「なんでそこまで頑張るの?」っていうくらい、あの頑張りに胸を打たれました。 クラッシュ・ギャルズが活躍していた時も、「千種がこんだけ頑張ってるんだから、私も空手の昇級試験、頑張らなきゃ」と思ったし、全国の女子中高生が「千種が頑張ってるんだから頑張らなきゃ」と思ってたんじゃないですかね。 ――感情移入したんですね。 アジャ:自分に置き換えて観てました。当時は、いじめもそうですけど校内暴力などもあって、鬱屈した思いがあった。そんななかで、ダンプ(松本)さんに血だらけにされてるのに、立ち上がって頑張る長与さんを見たら、そりゃあ応援しますよ。「自分たちも強くならなきゃいけない」と、クラスの友だちと話してましたね。全女の中継が月曜日の夜7時くらいからやっていたので、次の日の火曜日はクラス中の女子がみんなその話になっていましたね。