長与千種はアジャコングにとって憧れでありライバル プロレスを続けるきっかけになった「失望のシングルマッチ」も振り返った
【念願の長与とのシングルマッチで自分に失望】 ――長与千種というレスラーをどう評価していますか? アジャ:還暦祭もそうでしたが、やっぱりすごいです。長与さんに憧れて全女に入ったけど、入ったら雲の上すぎて話はできなかった。長与さんは平成元年に一度引退されていたので、「長与さんとシングルマッチはできなかったな」って思っていたんです。ただ、その引退の時に「生まれ変わったらもう一度プロレスラーになる」とおっしゃったので、「生まれ変わったらシングルマッチお願いします」って言ったら、「うん、やろうな」と言ってくれた。私はまだ3年目くらいで、アジャコングになる前ですね。それをモチベーションに「今世は無理だから、来世に頑張ろう」と思っていました。 ――その後、長与さんが旗揚げしたGAEA JAPANのリングに、アジャ選手はフリーとして上がるようになります。 アジャ:そこで、長与さんと初めてシングルマッチをすることになって、「もう来世が来た!」と思いましたね(笑)。だけどその試合で、私は自分で自分に失望したんですよ。アジャコングになって、WWWAのベルトも獲って、ある程度やり終えたから全女を出てフリーになって......それでGAEAに乗り込んで長与さんとシングルをやったら、アジャコングじゃなくて、15歳の自分に戻っちゃったんですよ。 ――長与さんに憧れていた時の自分ですね。 アジャ:とてもじゃないけど、お客様に見せられるような試合じゃない。「長与さんと試合をして、満足したら引退しよう」と思っていたんですけど、満足するどころか、当時の自分に「お前はプロレスラーを名乗るなよ」って言いたいくらい、本当にフワフワしてしまって。ファンがリングに上がっちゃった感じですね。「これじゃあ悔しくてやめられないな」と思いました。 今では、長与さんとも「"プロレスラー"のアジャコング」として対峙できるようになったんですけど、「プロレスって本当になんなんだ?」っていうのが、突き詰めていくうちにわかんなくなってきて、もっといろんなことをやりたくなった。「もっとやりたい、もっとやりたい」が増えていって、現在まで続けてる感じかな。あの長与さんとのシングルマッチは、私のターニングポイントですね。