【50代女子・茨城旅】海の絶景をお部屋から! 岡倉天心、横山大観が愛した、5つの顔をもつ海・五浦海岸へ
近くにこんなところがあったのか!と、茨城に目覚めた山脇りこさん。今回のいば旅は、左右斜め青の色が違う海。 日本美術が世界へ羽ばたく礎を築いた岡倉天心や、日本画の巨匠・横山大観が愛した五浦へ。温泉とあんこう三昧のご夫婦ふたりのほっこり旅。
五浦、知っていますか?
「こ、これは火曜★スペンス劇場か、ヒッチコックの『断崖』!?と思わずつぶやいた海を臨む崖。しかも臨んでいる海が、青・碧・あお、さまざまな青が美しい。どこですか、ここ? ええ、ここが五浦でした。前回の『袋田の滝』よりずっと東、太平洋に面した五浦海岸」
「五浦は、『いづら』と読みます。文字通り五つの浦。胸がすく海と空、人知の及ばぬ力がつくる複雑な海岸線、見飽きることのない5つの浦。ここに惚れ込んだのは岡倉天心(岡倉覚三)でした。 えっと?岡倉天心、誰?そうですよね。岡倉天心と聞いて、私も遠いかなたの教科書の記憶を引っ張ってきました。少し調べてみると、開校直後の東京美術学校(現在の東京藝術大学美術学部)で校長を務めた人物。その時、なんと27歳だったのだそう。そして、そもそも彼が、日本に芸術のための学校を!と奔走したからこそ、東京美術学校が生まれた。さらに初めて日本美術を通史としてまとめた人でもあるとのこと。うーむ、知らなかった」
「その天心が五浦を見つけて愛し、晩年はここで暮らしたのだそうです。今も五浦に残る彼の住居からは、海、波、そして水平線、複雑に絡み合う岩礁、急な崖、対比するような穏やかな浜も見えます。 小さな岬の突端にはやはり彼が建てたという『六角堂』もあります。創建当初の『六角堂』は流され、現在のものは東日本大震災後に復建されたもので、茨城大学により大切に守られています。 このあたりのことすべて、五浦の海を臨む高台に建つ『茨城県天心記念五浦美術館』で教えてもらいました。ここは、天心直筆の書簡資料や、横山大観をはじめ五浦に集まった芸術家たちの作品が鑑賞できる美術館。館内にある『岡倉天心記念室』では、毎日11時と14時から、スタッフの方によるガイドツアーもあります」