SP3位発進の坂本花織は“最強ロシア(ROC)3人娘”の牙城を崩して浅田真央氏以来のメダルを獲得できるのか
中庭氏は坂本のメダルの可能性をこう予想した。 「ワリエワ選手もドーピング違反問題の精神面への影響や、練習量の問題もあってか空中での軸の修正ができずに3回転アクセルでミスを犯しました。おそらくフリーでトゥルソワ選手は4回転を5本入れて逆転を狙うでしょうし、シェルバコワ選手も、もしかすると4回転ジャンプを2本プログラムに入れ込んでくるかもしれません。成功すれば、その技術点で坂本さんは追いつけませんが、4回転は非常にリスクが高いジャンプです。複数回の失敗をすれば大量失点につながります。坂本さんはSPで3位に入りメダル争いのライバルにプレッシャーをかけました。坂本さんの安定感のある演技構成点は、今回、さらに高く評価され、ルッツジャンプの踏切エラーも取られずに追い風が吹いています。ノーミスの演技で対抗すれば表彰台に上る可能性は高くなると思います」 後ろから追いかけてくるトゥルソワが怖い存在だが、直近の欧州選手権では、4回転ルッツ、4回転トゥループで転倒しフリーのスコアは159.23に留まっている。このスコアを今回に置き換えてみても、合計233.83となり、坂本の持ち点では足りないが、フリーでも3回転ルッツを成功させ、ノーミスで演じ切って、自己ベストを更新すれば表彰台をキープすることは可能となるだろう。 また五輪で史上5人目となる3回転アクセルを成功させた5位の樋口もフリーで再び大技を成功させ、SPでミスした回転不足などの課題を修正してノーミスでプレッシャーをかければ面白い存在になる。いずれにしろ明日のフリーは緊張感の漂うハイレベルな争いになることは間違いない。 最終滑走のプレッシャーをはねのけた坂本は、吹っ切れたように「ここまで来たら、力強く自分らしい演技ができればいいかなと思っています」と語っている。