ワリエワがSP首位発進も他の出場選手からはドーピング違反問題に批判意見が続出「クリーンな選手と争うのはフェアじゃない」
北京五輪のフィギュアスケート女子シングルのショートプログラム(SP)が15日、北京の首都体育館で行われ、ドーピング違反が発覚したもののスポーツ仲裁裁判所(CAS)が出場を認めたカミラ・ワリエワ(15、ROC)は82.16で首位発進した。他の出場選手や関係者からは批判的な意見が飛び交うなど波紋は収まらず、海外メディアも、ワリエワのSPの演技と共に、その選手たちの声を紹介した。
「平等な条件で競技することを望んでいる」
ワリエワは両手で顔を覆うようにして泣いた。冒頭の3回転アクセルは、踏み切り直後の跳び上がりから回転軸が傾き、空中での修正も間に合わずにステップアウト。転倒こそしなかったが、着氷でバランスを崩してマイナス2.74の減点となった。 ただ以降の演技は完璧にまとめてSPトップとなる82.16をマークした。90.45の自己ベストを持つワリエワにしてみれば、納得いかない演技だったのか。涙の理由は、その悔し涙なのか、ドーピング違反問題で、ギリギリまで出場可否が決まらなかった精神的な動揺が影響してのものなのか、わからない。競技後、ワリエワは取材エリアで報道陣の呼びかけに応じず、上位3選手が出席する公式会見にも出てこなかった。 海外メディアもワリエワのSP首位発進を大きく取り扱い、他の出場選手たちの意見を拾った。 英ガーディアン紙は「ワリエワが個人競技で金メダルの位置へ」との見出しを取り、「最初は乱れ、最後は涙。その間は完璧に描かれた。そして尋常ではない騒ぎと、苦悩の1週間の中でワリエワは“重要な場面でしっかりと演技する”という、これまで教え込まれたことをやってのけた」と報じた。 記事は「完璧な滑りではなかった。キリル・リクターによるイン・メモリアムが始まると、ワリエワはよろめき、冒頭の3回転アクセルで、あやうく転倒しかけた。だが、薬物検査で陽性となったことで世界が注目している中で彼女は再び集中して残りの演技でトップのスコアを得た」と、演技内容を伝えた。 さらに「15歳のロシア選手が北京にまだいるべきなのかという多くの疑問とともに世界中からスポットライトが当てられる中で彼女がやったことは確かに素晴らしかった。だが、彼女が優雅に氷上でステップを踏むずっと前に、英国のナターシャ・マッケイは、このロシア選手(のワリエワ)が競技をするべきかどうかを問われると率直な意見を口にした」と続け、CASが下した裁定に批判的なマッケイの発言をこう紹介した。 「私たちは平等な条件で競技することを望んでいるが、ここではそうではない。ただ、その判断を彼らが下した以上、私たちは、それに従わなければならない」 マッケイはSP28位でフリーに進むことができなかった。
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