光害は人間の健康にも悪影響、がんや糖尿病や脳卒中などとも関連、自宅や寝室できる対策は
自宅でできる照明対策
北米照明学会(IES)は、2020年になってようやく健康的な屋外照明を求める呼びかけに参加した。青色光の使用を減らすこと、光量は必要最小限に抑えること、必要な場所だけ照らすようにシールド(覆い)をつけることなどがその内容だ。 2023年に学術誌「サイエンス」に発表されたレビュー論文は、明るすぎる街灯は夜間のドライバーの瞳孔を縮ませて人や物体に気づきにくくさせると指摘し、街の照明の改善を呼びかけている。また、家の中やベランダ、庭の照明を消したり暗くしたりして、家が夜間に明るくなりすぎないようにするよう助言している。 色温度を調節できる電球なら、昼間は自然光に近い色に、夕方以降は暖色に切り替えよう。ロングコア氏はさらに、夕方にはすべての機器の設定を暖色に切り替えるか、ディスプレーの青色光をさらに減らすアプリを使うことも勧めている。「1日の活動を終える時間帯には、概日リズムを乱す光の量を減らしましょう」 ブレイナード氏は、トイレの照明は明るいので、夜間につけるとメラトニンを抑えてしまう可能性が高いと言う。氏は、トイレにナイトライトや暖色の間接照明を設置し、夜間はそちらを使うことを勧めている。 寝室の窓が屋外照明に面している場合には遮光カーテンをつけよう。また、テレビをつけっぱなしにして寝るのは、睡眠の質が下がるのでやめよう。 アイマスクをつけて寝る人もいるが、ハニフィン氏は、扇風機やテレビ、空気清浄機、パソコンの表示灯を覆う方がいいと話す。 「LEDは非常に安価で普及しているため、今やあらゆるものに付いています。これがプライベートな光害を引き起こす可能性があるのです」とハニフィン氏。「私の寝室には7個あったので、全部に黒いビニールテープを貼りました」
文=Meryl Davids Landau/訳=三枝小夜子