光害は人間の健康にも悪影響、がんや糖尿病や脳卒中などとも関連、自宅や寝室できる対策は
健康への影響
過剰な光によって安眠が犠牲になっていることは明らかだ。明るい部屋で眠りに落ちるのは難しい。2023年10月に医学誌「Journal of Adolescent Health」に発表された中国の成人についての研究では、寝室の光害によって睡眠が断片化し、合計睡眠時間が短くなることが明らかになっている。 2024年6月に学術誌「Ecotoxicology and Environmental Safety」に発表された別の中国の研究によると、こうした概日リズムの乱れはC反応性タンパク(CRP)などの炎症マーカーの値を上昇させる可能性もあるという。 光に過度にさらされることは、ホルモン感受性のがん、特に乳がん、大腸がん、前立腺がんと関連している。疫学研究によると、光害レベルが最も高い地域に住む人々は、これらのがんの罹患率が高い傾向にあるという。さらにロングコア氏が2023年に発表した研究では、カリフォルニア州の屋外照明の明るい地域に住む子どもたちは、小児白血病のリスクがより高いことが示されている。 とはいえ、夜間の光と乳がんのリスクに関連が見つからなかったとする英国での研究があるように、すべての疫学研究が屋外の光環境とがんとの関連を支持しているわけではない。これは、寝室の位置やカーテンの厚さによって浴びる光量が異なるせいかもしれない。 また、光害への感受性には個人差がある。2019年に学術誌「米国科学アカデミー紀要(PNAS)」に発表された研究では、現代の家庭で一般的な夜間の光量を浴びた被験者はメラトニンの作られる量が平均50%低下していたが、被験者1人ひとりの光への感受性には最大で50倍以上の差があった。 いくつかの小規模な予備的研究からは、心臓病、糖尿病、うつ病、虚血性脳卒中(脳梗塞など)のリスクが高まる可能性が指摘されている。 光の影響は生殖能力にも及ぶ可能性がある。夜間の屋外照明が明るい地域に住む男性は精子の質が悪く、同じような地域に住む妊婦は早産率が高くなる可能性がある。