耳鳴りに効果抜群の「ハチの羽音(はおと)呼吸法」【40代から増える「耳鳴り・難聴」に要注意! ⑦】
耳鳴りや難聴は脳が疲労していると症状が悪化する。そんなときには、脳をリラックスさせることが大切だ。今回は、特に耳鳴りに効果抜群な方法を、耳鼻咽喉科医で医学博士の石井正則さんに伺った。
腹式呼吸が耳鳴り軽減の基本
耳鳴りの悪化には、寝不足やストレスが影響していて、特に脳の疲労が深く関係している。日頃から疲れをためないことが大切だが、ほかに心がけておくことはあるのだろうか? 「呼吸法がとても大切です。特に耳鳴りに悩まされている人は、横隔膜を使わない浅い呼吸で、肩を上下する肩式呼吸をしている人が多い傾向です。耳鳴りを軽減するためには、まずは腹式呼吸を意識するといいでしょう」(石井先生) 《基本の腹式呼吸のやり方》 1 背すじを伸ばして椅子に座る。 上体が前に倒れない姿勢が大切だ。 2 口をしっかり閉じて、ゆっくり鼻から息を吸って、鼻から息を吐く。 息を吸うときはお腹に空気を入れるイメージで膨らませ(※)、吐くときはお腹をへこませながら、空気を吐き切るイメージで吐く。 ※実際に空気が入るのは肺。 3 吐く息を長くしていく。 腹式呼吸が上手にできるようになったら、吐く息の時間を吸う息の2倍、さらに3倍と段階的に長くしていく。 鼻で呼吸をすることで、空気が鼻の中で温まり加湿されて、鼻腔や気道の粘膜にある線毛運動により、空気中の細菌やウイルスを排出する効果がある。 「こうしたゆっくり吐く腹式呼吸を行うことで副交感神経が優位になり、脳や体がリラックスします。 朝目覚めたときに行えば一日が爽やかに、食事の前に行うことで食欲がアップ、寝る前に行えばぐっすり眠れると思います。1日数回、12週間くらいは続けてみてください」
「ハチの羽音(はおと)呼吸法」で脳と耳をすっきりさせる!
もうひとつ、「簡単で効果抜群のおすすめの呼吸法がある」と石井先生。それがハチの羽音呼吸法だ。 「これは古代インドの呼吸法のひとつである『ブラーマリー呼吸法』をアレンジしたものです。ブラーマリーとはサンスクリット語で『メスのハチ』という意味です。 両耳の中に軽く人差し指を入れて、小さな声で『ウーン』と言うのですが、この自分の声の振動が頭蓋骨に伝わり、脳全体に満たされることで、深いリラックス感を得られ、頭がすっきりします。特に耳閉感や低い耳鳴りがひどいときに、人によっては症状を軽減する速効性があります」