耳鳴りに効果抜群の「ハチの羽音(はおと)呼吸法」【40代から増える「耳鳴り・難聴」に要注意! ⑦】
《ハチの羽音(はおと)呼吸法のやり方》 1 テーブルにひじをついて両耳を軽くふさぐ 椅子の中央に、背もたれに寄りかからないようにして座り、足を腰幅くらいに開く。上体を前に傾け、両ひじをテーブルにつく。両手の人差し指を両耳の中に浅く入れ、目を閉じる。お腹が膨らむのを意識して、鼻からすっと短く息を吸う。
2 「ウーン」と言いながら息をゆっくり吐く 自分だけに聞こえるくらいの小さな低い声で、「ウーン」と言い続けながら、ゆっくり息を長く吐く。お腹をへこませるようにして、苦しくなる一歩手前でやめて、また短く息を吸う。息継ぎをするとき以外は「ウーン」と言い続ける。これを5分を目安に繰り返す。
\ポイント/ ●耳に指を入れる際、周りの音が聞こえない程度でいいので、深く入れる必要はない。 ●口は閉じたまま、自分だけに聞こえるくらいの小さな「ハチの羽音」のようなイメージで。 ●ゆっくり吐く腹式呼吸をしながら行う。長く吐こうと頑張りすぎないで、苦しくなる前に息を吸って。 「この呼吸法を21人に行ってもらい、5分後に腹式呼吸に戻してから調査したところ、程度の差はありますが16人に耳閉感の改善がみられました。 また、これを12週間続けた人を対象に脳波を測定した結果もあります。5分の『ハチの羽音呼吸法』を行ったあとには、脳の興奮が抑えられているアルファ波が増加する傾向が見られ、副交感神経が優位になっていることがわかりました。 この呼吸法による、耳閉感や耳鳴りの改善効果の持続性は当然ながら個人差がありますが、ひとつの改善策として実践してみる価値はあります。 特に耳鳴りの悩みがない人でも、腹式呼吸やハチの羽音呼吸法を行うと脳がリラックスするので、疲れたときにもおすすめです」
【教えてくれたのは】 石井正則さん 耳鼻咽喉科医・医学博士。JCHO東京新宿メディカルセンター耳鼻咽喉科診療部長。東京慈恵会医科大学大学院卒業とともに、米国ヒューストン・ベイラー医科大学耳鼻咽喉科へ留学。帰国後、東京慈恵会医科大学附属病院耳鼻咽喉科医長、同大学准教授を経て現職。岐阜大学臨床教授を併任。専門は耳鳴り、めまい、難聴、宇宙酔い。日本耳鼻咽喉科学会代議員、宇宙航空研究開発機構(JAXA)・宇宙医学審査会委員。ヨギー・インスティテュート認定インストラクターであり、ヨガのポーズと呼吸の応用で、耳鳴りやめまいの軽減法を提唱している。著書に『70歳から難聴・耳鳴り・認知症を防ぐ対処法』(さくら舎)など多数。 イラスト/かくたりかこ 取材・原文/山村浩子