バスケ実業団選手からラグビーに転向、3年で代表入り。村上愛梨が「好きだからでしかない」競技を続けられた原動力とは?
バスケからラグビーに転向「生で試合を見て、心が動いた」
――秋田銀行レッドアローズでは銀行員として働きながら、3年間で2度の全国制覇も経験されたそうですね。ラグビーに転向したきっかけは何だったのですか? 村上:仕事のお客様からもらったラグビーのチケットで試合を見にいった時に、激しくぶつかり合う音を聞いて、その面白さに心が動いたことがきっかけです。迷った時はやらないと気が済まない性格ですし、バスケでは「実業団でプレーする」という目標を果たしたので、チャレンジしようと思いました。 ――中学生から社会人まで約13年間バスケを続けてきた中で、転向することに迷いはなかったのですか? 村上:その前にラグビー転向を考えたことが一度あって、その時は2度目だったので迷いはなかったんです。一回目は大学の時で、当時の監督に「オリンピック選手を目指すならラグビーかカヌーをやったほうがいい」と言われたことがあって。でも、当時は実業団でバスケをすることが目標だったので、その2つは最終的に蹴りました。ただ、社会人になってから生でラグビーを観戦した時には、すぐに決断しました。 ――長年バスケをやっていた経験から、ラグビーに生きたことや、逆に慣れるのに難しかったことなどありますか? 村上:ステップやスタートダッシュの速さは、バスケに通じる部分だと思います。私はフォワードですが、ラインアウトした際には、背丈があるので空中戦でボールを争奪するジャンパーを担当します。バスケットのジャンプシュートと、そのジャンパーの飛ぶ動作は同じで、真上に高く飛べるので、そこは経験が生きたところですね。 ただ難しいところも多くて、バスケは選手同士の接触はファウルになりますけど、ラグビーはどれだけタックルできるかが勝負になるので、最初は怖かったです。パスも、バスケだとパスをしてそのまま前に走ってもOKですが、ラグビーは前にパスをしてはいけないルールがあるので、後ろにパスをしたら自分も下がらないとパスをもらえないんですよね。最初はその動きに慣れるのに苦労しました。 ――当初はセブンス(7人制)から入り、2017年に15人制ラグビーに転向した翌年には代表に選ばれました。代表戦は、やはりそれまでの経験とは違いましたか? 村上:あまりにも違いすぎて、体調が悪くなりました(苦笑)。転向してたった3年で代表の合宿に参加して、それまで代表にいた誰かがジャージを着られなくなるわけじゃないですか。そういう競争のシビアさや、日本を背負って戦うことに対して、ものすごく気負ってプレッシャーを感じましたし、「代表で戦い続ける人たちはすごいな」と重みを感じました。