相続人がいない場合、財産は誰の手に?…「特別縁故者」になる条件と通常の相続と異なる“相続税の4つの注意点”
特別縁故者が知るべき「相続税」における4つの注意点
特別縁故者が財産を受け取る場合、「遺贈」として扱われますが、これも相続税の対象です。 ただし、通常の相続と異なる点があるため、特別縁故者が遺贈を受ける際には、以下の4つのポイントに注意してください。 基礎控除額と課税の仕組み 相続税は、遺産総額から「基礎控除額」を差し引いた額に対して課される税金です。 通常、基礎控除額は「3,000万円+(法定相続人の人数×600万円)」で計算されます。しかし、特別縁故者が相続する場合は法定相続人がいないため、基礎控除額は一律で3,000万円となります。 そのため、遺産が3,000万円以下であれば相続税はかかりませんが、3,000万円を超える場合は課税対象となり、申告が必要です。 適用外となる控除と特例 特別縁故者が財産を受け取る場合、法定相続人だけに適用される各種税額控除は利用できません。 ここでの税額控除とは、基礎控除以外の「小規模宅地等の特例」や「配偶者控除」「未成年者控除」などを指します。これらの控除を受けるには、被相続人の生前に「婚姻届を提出する」「養子縁組を行う」など、法的に家族関係を築いておく必要があります。 相続税の割増と追加課税 特別縁故者が財産を引き継ぐ場合、相続税に「2割加算」が適用されます。 この2割加算は、被相続人の配偶者や子ども、両親以外の人が遺産を受け取る際に課される追加課税です。特別縁故者は、この加算の対象となり、通常の相続税にさらに2割が上乗せされます。 ただし、先述の通り相続税の基礎控除である3,000万円が適用されるため、相続を受けた合計が3,000万円以内であれば課税対象外です。 申告期限と評価時点の特殊性 特別縁故者が財産を引き継いで相続税がかかる場合、申告が必要です。通常の相続税申告期限とは異なり、特別縁故者の場合は「特別縁故者の財産分与の審判が確定した翌日から10ヵ月以内」が申告期限となります。 この点を見落とすと、延滞税や状況によっては加算税が発生するため、期限には特に注意が必要です。
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