相続人がいない場合、財産は誰の手に?…「特別縁故者」になる条件と通常の相続と異なる“相続税の4つの注意点”
特別縁故者制度を活用するためのコツ
特別縁故者制度を効果的に活用するには、事前の準備が欠かせません。特別縁故者として認定されるためには、生前の関係を示す確かな証拠が必要であり、また手続きには専門的な知識も求められます。ここでは、制度を活用する際に役立つポイントや注意点について詳しく解説します。 生前の関係性証明の重要性 特別縁故者として認められるには、被相続人との生前の関係を証明できることが重要です。裁判所が特別縁故者として認定するためには、申立書だけでなく、客観的な証拠が求められます。生前の関係を証明する資料が多いほど、認定される可能性が高まります。 関係性を示すための有効な証拠例は、以下の通りです。 1.被相続人と生計を共にしていた場合 ・同居年数が確認できる住民票 ・定期的な振り込みがあった通帳など 2.被相続人の療養看護に努めていた場合 ・看護や介護のやり取りがわかるメール、LINE、SNS、手紙など ・医療費や介護費の領収書 ・訪問や通院にかかる交通費の領収書 3.被相続人と特別な縁があった場合 ・親密な関係を示すメッセージや手紙 ・共に過ごした写真や日記 ・無効になった遺言書など これらの証拠がそろっていれば、被相続人と特別な関係があったことを強く示すことができ、特別縁故者として認定されやすくなります。生前の関係を証明する資料をしっかりと準備することが大切です。
法的支援の活用と専門家への相談 特別縁故者として認められるには、証拠の準備や多くの手続きが必要です。このため、弁護士などの専門家に相談することをおすすめします。専門家に相談すると、以下のサポートが受けられます。 ・特別縁故者として認められる可能性についてのアドバイス ・必要な手続きの流れの説明 ・相続税やその他の費用についての相談 ・手続きの代理依頼が可能 さらに、相続手続きやトラブルの不安がある場合には、「相続診断士」への相談が効果的です。相続診断士は、親身に相談に乗り、必要に応じて専門家へとつなげる役割も果たします。たとえば、遺言書の内容に関するトラブルには弁護士を、戸籍や財産調査の手続きには行政書士を紹介することができます。 遺言書作成による意思表示 特別縁故者制度は、法定相続人も遺言書もない場合に適用される最後の手段です。 もし、自分に法定相続人がいない状況で大切な人に財産を残したいと考えるなら、法的に有効な遺言書を作成することが最も確実です。生前に公正証書遺言を作成しておくと、無効になるリスクも少なくなり、希望通りに財産を贈ることができます。
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