相続人がいない場合、財産は誰の手に?…「特別縁故者」になる条件と通常の相続と異なる“相続税の4つの注意点”
特別縁故者制度のリスクと課題
特別縁故者制度は、法定相続人がいない場合に遺産を受け取る手段として利用されますが、その認定には慎重な判断が行われます。また、法定相続人がいる場合や行方不明であっても権利が消えないケースもあり、制度の利用には多くの注意点があります。 以下、特別縁故者制度を活用する際に知っておきたいリスクや課題、確実に財産を引き継ぐためのポイントについて解説します。 相続人不明時の対応方法 被相続人の戸籍を調べた結果、法定相続人が見つかったものの、連絡が取れなかったり所在が不明であったりする場合があります。 ただし、「連絡が取れない=相続人がいない」とはならないため、この状態で特別縁故者が財産分与を請求することはできません。 法定相続人が行方不明である場合は、不在者財産管理人の選任や失踪宣告の手続きを行う必要があります。これにより、相続手続きの進行が可能になります。 法定相続人との権利関係 特別縁故者が遺産を受け取れるのは、「相続人がいない場合」に限られます。法定相続人である子どもや兄弟姉妹がいる場合、特別縁故者には財産を渡す権利はありません。 たとえ相続人が行方不明や音信不通であっても、相続権が消えるわけではありません。また、被相続人と不仲であっても相続権は有効です。権利者がいる限り、内縁の配偶者などの特別縁故者は遺産を受け取れないと考えておきましょう。 制度利用における潜在的リスク 特別縁故者は、誰でもなれるわけではなく、民法で厳しい基準が定められています。たとえば、亡くなった方が「内縁の妻は特別縁故者として財産を引き継げるだろう」と考えていたとしても、家庭裁判所が特別縁故者として認めない可能性があります。 裁判所は、提出された証拠に基づいて特別縁故者の適格性を判断します。たとえ被相続人と家族同然の関係であっても、それを証明する証拠がなければ、特別縁故者として認定されないリスクがあります。 特に内縁の妻や連れ子に確実に財産を残したい場合、特別縁故者制度に依存するのは不確実です。確実に財産を引き継がせたいなら、あらかじめ遺言を作成するのが効果的です。中でも「公正証書遺言」は法的効力が強く、財産継承の確実性を高める手段としておすすめです。
後藤 光,円満相続ラボ
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