フォーエバーヤング坂井瑠星を三嶋まりえ記者が直撃!BCクラシック制覇へ「強い馬はどんな条件でも勝つ」
デルマーで無敗の矢作厩舎
――デルマーで騎乗するのは意外にも初めて 坂井 最近は初めて行く場所もなかなかないから、新鮮な気持ちで臨めるかな。矢作厩舎はデルマーで無敗。(ラヴズオンリーユー、マルシュロレーヌが勝った)21年は日本で乗っていて、キングエルメスで京王杯を勝った。自分の部屋で見てたけど悔しかった。自分が乗っていないわけだから。 ――そこから3年。最近の充実ぶりを見ると、以前から言っていた“当たり前に世界のビッグレースに乗っているジョッキー”という目標に近づいているように見えるが… 坂井 う~ん、矢作先生のおかげというのが大きい。まだ自分の力じゃないというか、自分が求められて海外に行っているわけじゃない。自分が目指すところには程遠いと思う。だけど、その中で近づいているのは感じる。ケンタッキーダービーに乗れた、凱旋門賞に乗れた、とかまずはそのステップには行けたと思うけど…。まだまだ。 ――どこまで行ったら納得、満足できるのか 坂井 どこまで行っても納得はしないんじゃない? 日本のトップになったわけでもないし、自分の中ではまだまだ。ブリーダーズC勝ったらどうなるんだろう?というのはあるかな。 ――BCへ向けて 坂井 この馬の力を出せるように、しっかりと準備をしたい。日本人初のBCクラシック制覇へ向けて、勝ちに行きます。
取材後記
小学校時代、3つの競馬ゲームでブリーダーズCを制したことを明かしたように坂井は幼少期から大の競馬好き。幼いころから知識を積み重ね、競馬博士ぶりに拍車がかかっています。 「学ぶことや分析することが好き」と坂井は話します。取材をしていても、自分を俯瞰して眺めているのでは?と思うほど冷静沈着。坂井を超がつくほどの競馬オタク化させた根底には、もともとの性格も影響しているような気がします。 そんな坂井の幼少期のあだ名は、“サラリーマン”。「俺は覚えていないんだけど、昔からしっかりしていて、そう呼ばれていたみたい」と淡々と振り返っていました。そのクールさからか、感情があまり表に出ないタイプ。西村淳騎手がGⅠ初制覇(今年のスプリンターズS=ルガル)の勝利騎手インタビューで泣いているのを見て、「うらやましいなと思った。俺はヨッシャーというよりは、いろんな人が喜ぶ姿を見るのがうれしいかな」。 GⅠレースで11回の栄光をつかんできた鞍上ですが、これまでは平常心を保ったままでした。そんな彼が、決戦を前に漏らした言葉があります。 「ブリーダーズCを勝ったらどうなるんだろう」誰もが憧れる大舞台で勝利した後の姿まで想像できないようです。ヤング時代から落ち着き払った男が感情を爆発させるシーンは見られるのか? はたまた冷静なままなのか? 快挙達成の際には、馬上での表情にも注目です。
三嶋 まりえ