なぜ”瀕死”のプロボクシング界は経済活動よりも安全を優先するのか…ジム営業再開&7月興行再開に厳格ルール策定へ
日本ボクシングコミッション(JBC)と日本プロボクシング協会(JPBA)による「新型コロナウイルス対策連絡協議会」が29日、オンラインで開かれ、7月から再開予定の興行で観客を入れる際の条件の厳格化と、ジムの営業再開に向けて入館者の健康状態をチェックするためのメディカルチェックシートを作成、配布することなどを決定した。血中酸素飽和濃度の計測までを義務づける。緊急事態宣言が解除され、各地で徐々に制限が緩和されているが、ボクシング界は、新型コロナの第二波、第三波を警戒。「社会的責任を果たすためボクシング界から感染者を出さない」を合言葉に新型コロナ感染予防の厳格ルールを策定する。
血中酸素飽和濃度チェックを義務化
東京都の休業要請緩和のロードマップが6月1日に「ステップ2」へと移行されることが決まるなど、全国で「解除」、「緩和」への動きが徐々に進んでいるが、ボクシング界は慎重な姿勢を示した。この日の連絡協議会では、まずジムの営業再開に向けて所属のプロ選手だけでなく、一般会員、スタッフまで、入館者全員の健康状態を管理するためメディカルチェックシートへの記入を義務づけることを決定した。 メディカルシートはJBCが作成して、加盟ジムに配布するが、体温、体調、味覚嗅覚障害の有無などに加えて、血中酸素飽和濃度の計測までをチェックポイントに加えるという。 酸素飽和濃度の異常は新型コロナの発見につながるとされているからだ。 「各ジムは営業の再開までに簡易の酸素濃度測定器を用意していただきたい」(安河内剛事務局長)との方針で、酸素飽和濃度が90パーセント以下の数値を示し、もしメディカルチェックシートの問診で異常が発見されたときは、ジムの責任者は、ただちに出入りを禁じて対象者に地域の医療や保健所へ受診に行くことを薦めなければならない。さらにジムの営業再開に関するガイドラインも作成、加盟ジムは、その遵守を求められる。 プロボクシング界では、愛知県のジムで4人の感染者が出ただけに留まっているが、ジムは「3密」の条件が揃った「要注意の場所」とみなされている。各地方自治体の方針に沿って、各ジムの判断で営業再開を決定していいことになっているが、感染予防に関してはより厳格なルールを定めた。さらに試合出場選手は3週間前、前日と2度、医療機関で抗体検査を受けることを義務づけることも改めて確認された。