スポーツ界襲う新型コロナもう一つの恐怖…日本ミドル級戦が再延期…挑戦者が「ベストな状態でできない」と延期を申し入れ、知人感染重症化に衝撃受けた王者も心情理解
日本ボクシングコミッション(JBC)と日本プロボクシング協会(JPBA)は22日、オンラインで新型コロナウイルス対策連絡協議会を開き、7月に再開予定の興行について協議を行ったが、ショッキングな事実が明らかになった。ワールドスポーツボクシングジムは、7月27日に後楽園ホールで日本ミドル級王者の竹迫司登(28、ワールドスポーツ)と同級1位、国本陸(23、六島)のタイトル戦を行う予定だったが、挑戦者サイドが、新型コロナの影響で「練習ができない」ことを理由に辞退を申し入れてきて再延期となったのだ。 7月からの興行再開に関しては、選手の調整不足、「怖い」などの精神的不安が指摘されていた。ボクシング界だけでなく再開を目指しているスポーツ界全体が抱えている問題点ではあったが、いきなりそれが露呈することになってしまった。 このカードは、テレビ放映が予定されていただけに興行側も選手もショックを隠せない事態となった。 当初、このタイトル戦は「チャンピオンカーニバル」として5月2日に後楽園ホールで行われる予定だったが、3月30日にJBCとJPBAが5月15日までの興行中止、延期を決定し7月27日に延期となっていた。関係者によると両陣営は7月27日にタイトル戦を行うことで合意していたが、緊急事態宣言が延長されるなどして、練習環境が整わず、まず挑戦者の国本自身から「対人練習のメドも立たず、試合に向けての練習ができない。ベストな状態で戦いたい」と、延期の申し入れが六島ジムの枝川孝会長に対してあった。枝川会長も、選手の安全を第一に考えて、その意向を尊重し、「私の力不足で申し訳ない」と、興行主であるワールドスポーツ側に再延期を申し入れてきたという。 それが先週の15日。帝拳ジムのサポートでテレビ中継の予定を組んでいたワールドスポーツ側もショックを隠せなかったが、原因が新型コロナだけに、斎田竜也会長も、どこにも怒りをぶつけることもできず申し入れを了承。この日の協議会で報告した。 「いろんな方々に迷惑をかけることになってしまいました。ただ、選手が調整できないというのですから仕方がありません。うちの竹迫も対人練習はまだできていない状況で、あと2か月でなんとか調整しようと考えていたのですが…。そもそもチャンピオンカーニバルは来年に延期ですから、この試合は来年になります。お客さんを入れる場合も席数を減らし無観客も考え、2、300万円は赤字になることを覚悟していましたが、ジムの営業を再開することもできず、興行もできないとあって非常に苦しい状況に追い込まれています。竹迫も、この試合のファイトマネーが入らず苦しいでしょう。なんとかフォローはしてはあげたいのですが」